注目のアトリビューションモデルとは?解決できる課題や選び方を解説

恩田基輝
2023-03-08
目次

 マーケティング担当者の多くは、タッチポイントそれぞれの費用対効果が把握しづらいという課題を抱えているのではないでしょうか?近年では情報を集める手段は多様化していることから、多くの企業は複数のマーケティングチャネルを利用しています。そのため、顧客との接点であるタッチポイントは、受信トレイ、Webポータルサイト、テレビ番組CMなどさまざまです。
 そこで意識したいのが、流入経路を可視化し最適化できるアトリビューションモデルの選定です。今回は主要なアトリビューションモデルの特徴や選び方をご紹介します。

CVまでのタッチポイントに着目するアトリビューションとは

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 マーケティング用語のアトリビューションとは、広告のコンバージョンへの貢献度をみる考え方のことです。英語のアトリビューション(attribution)は、もともと「帰因する」などを意味しています。アトリビューション分析とは、ランディングページやSNS、バナー広告などの各タッチポイント(以下、接点)が、どの程度コンバージョンに貢献したかを分析する手法です。これまでの広告効果の評価は、コンバージョンに至る直前の最終クリックのみを重視することが一般的でした。
 しかしアトリビューションを考える際には、コンバージョンまでに顧客がたどった接点を重視します。例えば広告だけでなく、解説動画やブログなども評価の対象になるのです。アトリビューションの考え方によって、潜在顧客の認知を拡大させるためのコンテンツも適切に評価できるようになります。

 近年では広告手法が多様化していることから、コンバージョンに至った要因を考える必要性がでてきました。「どのような要因によって成功に至ったのか。」この要因を知ることが、コンバージョンを増やすために重要だとしてアトリビューションは注目されているわけです。アトリビューションの考え方をベースに、コンバージョンを獲得しやすい流入経路がわかれば各施策を見直すきっかけになるでしょう。その結果、広告費用を最適化したり新しい施策を考えたりすることが容易にできるようになります。

なぜアトリビューションモデルは必要とされるのか

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 アトリビューションモデルは、コンバージョン発生の過程で接点のあった各広告の貢献度を数値化して評価を行うフレームワークです。後述しますが、さまざまな分析ニーズに適した複数のアトリビューションモデルがあります。1つだけを使うこともできますが、複数のモデルを組み合わせて利用することも可能です。
 流入経路が多様化するWeb広告運用の現場において、アトリビューションモデルは広告費用の最適化、つまり広告費用の配分の見直しのために利用されています。直接コンバージョンしていないけれどもコンバージョンをアシストしている間接効果も数値化できる点が、近年の広告運用において重視されているわけです。

 アトリビューションモデルをベースに精度の高い分析結果を得られると、CPA(Cost Per Action)として数値化できます。コンバージョン1件を獲得するまでに経由した各広告の貢献度を具体的に測れるので、成果を出している広告により多くの予算を割り当てることが可能になるのです。さらに広告を出稿すると得られる収益の予想にも役立ちます。

広告主が解決できる課題とは

 ここでは、アトリビューションモデルによってどのような広告運用の課題を解決できるのかご紹介します。

  • 貢献度が高いコンテンツはどれかを特定したい
  • チャネルごとの優先順位をはっきりさせたい
  • 意外な貢献をしているコンテンツページはどれかを知りたい
  • 今後、予算投入を拡大していく広告媒体の選択を根拠ベースで判断したい
  • 広告費の予算額は現状維持したまま、コンバージョン獲得数を増加させたい

 上記のような課題を解決したい広告主は、アトリビューションモデルの活用を検討するといいでしょう。

アトリビューションモデルの活用が向いている・向いていない広告主

 コンバージョン達成までの過程において、ユーザーは同じ広告主が出稿しているさまざまな広告と接点を持つ可能性があります。とくに単価の高い製品になるほど、買い手であるユーザーは多くの広告やコンテンツを経由して購入を検討するものです。
 アトリビューションモデルの活用が向いていない広告主は、コンバージョンに至るまでの流れが単純なケースです。一方、向いている広告主は、次のような状況に該当するケースですので参考にしてみてください。

  • コンバージョンに至るまでに複数のチャネルを経由する
  • 指名検索の割合が高い
  • コンバージョンにつながったキーワードが偏っている
  • 高額な商品を取り扱っており、認知から購入までのサイクルが長い
  • BtoB商材は全般的に向いている

アトリビューションモデルを採用している広告配信サービス

 次のような広告配信サービスが、アトリビューションモデルを提供しています。どのような分析が可能か、チェックしてみるといいでしょう。

  • Google広告
  • Googleアナリティクス
  • Facebook広告
  • Amazonアトリビューション
  • Yahoo!アトリビューション比較レポート

アトリビューションモデルとは?代表的な5つの種類

 

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 ここでは、代表的な5つのアトリビューションモデルをご紹介します。

  1. ファーストタッチモデル
  2. ラストタッチモデル
  3. 減衰モデル
  4. 線形(リニア)モデル
  5. 接点ベースモデル

 では、それぞれについてみていきましょう。

1. ファーストタッチモデル

 文字どおり、買い手にとって最初の接点となった媒体のみを貢献度として評価するモデルです。広告だけでなくコンテンツも含む、見込み客が接触するすべてがファーストタッチとして見なされます。自社の製品・サービスへの認知が薄いユーザーに着目したモデルといえるでしょう。初めて接触した際のイメージがより重要となる、ラグジュアリーブランドなどの商材に適しています。

2. ラストタッチモデル

 コンバージョンが確定する瞬間に着目し、最後にユーザーが接触した媒体のみを貢献度として評価するモデルです。Google広告などではデフォルト設定されていることからもわかるとおり、コンバージョントラッキングの基本として広く使用されています。
 ただし、潜在的な顧客に有効な媒体の評価には向いていません。例えば期間限定のキャンペーンであったり、顕在顧客向けの媒体を検証したりする場合に有効です。成果に直接結びついた接点を把握できるため、費用対効果を測定しやすいという特徴があります。

3. 減衰モデル

 コンバージョンに至るまでにユーザーが接触したすべての媒体に対して、貢献度を割り振るモデルです。直前にクリックされた媒体に最大の貢献度を割り振りしたら、あとは時間が新しいものから順に貢献度を割り振ります。ラストタッチを重視し、時間をさかのぼるほどに貢献の度合いを小さく評価するため、慎重な分析を行いたい際や短期間のプロモーションにおすすめです。

4. 線形(リニア)モデル

 コンバージョンに至るまでに経由したすべての接点を、平等に評価するモデルです。最も単純で分析しやすいモデルだといえるでしょう。いずれの接点もコンバージョンの検討段階として等しく重視する広告主は、この線形モデルを使うとよいでしょう。顧客が複数の接点を行き来したり、あるいは検討期間が長かったりするケースに適しています。

5. 接点ベースモデル

 コンバージョンに至るまでにユーザーが接触したすべての媒体に対して、最初と最後の接点に貢献度を高く割り振るモデルです。最初と最後の媒体にそれぞれ40%、残りの20%を途中に接点を持った媒体に均等に割り振ります。消費財やアパレルブランドなど、ブランドイメージや好感度が購入に影響しやすい商材に利用するといいでしょう。

アトリビューションモデルの選び方

 

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 アトリビューションモデルは、複数のモデルのうち1つだけ選べばいいというものではありません。自社商材との相性や注力したいマーケティングファネルの段階に応じて、モデルを組み合わせることもできます。使用するモデルを決定する際に、とくに考慮すべき要因は次のとおりです。

  • 販売サイクルの長さ
  • カスタマージャーニーマップ
  • キャンペーン目標

 アトリビューションモデルを選択する際には、自社のビジネスモデルの傾向を把握することが大事です。例えば成長志向なら、ユーザーの拡大を図るファーストクリックや線形モデルなどが適しています。一方、慎重志向なら、費用対効果を測定しやすいラストタッチや減衰モデルなどを選ぶといいでしょう。ほかに使い分けとしては、BtoCなら線形(リニア)モデルを、BtoBなら接点ベースモデルを利用することも検討してみてください。

 またどうしても迷ったら、次の3つのモデルを選ぶという方法もあります。

  • ファーストタッチモデル
  • ラストタッチモデル
  • 線形(リニア)モデル

 買い手であるユーザーが、どのような接点を経てコンバージョンに至っているのか。カスタマージャーニーマップを活用するなどして、全体を俯瞰的にみて理解することが大切です。見込み客との接点をすべて把握したうえで、自社にとって最適なアトリビューションモデルを検討しましょう。

広告運用の費用対効果を改善するアドベリフィケーション

 

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 広告運用の費用対効果を改善する方法は、アトリビューションモデルの選定だけではありません。広告主はアドベリフィケーションツールの活用も検討することで、広告費のムダを解消できるかもしれません。アドベリフィケーションとは、広告を検証する仕組みのことです。近年では、さまざまなベンダーが日本でツールを提供しています。中でもMomentum社のアドベリフィケーションツールは、次に挙げる3つのリスクすべてに対応しているのが特徴です。

  • アドフラウド
  • ブランドセーフティ
  • ビューアビリティ

 アドフラウドとは、実際のユーザーに広告が゙閲覧されない状態にもかかわらず広告費が゙発生する「広告詐欺」です。広告費の水増し搾取にあうと、広告投資の費用対効果が著しく悪化します。
 また人種差別を助長するようなヘイト系やフェイクニュースを発信するサイトに自社の広告が掲載されると、ブランド価値の低下を招くでしょう。さらに自社のWeb広告が、ブラウザに1秒以上表示されなければユーザーが視認することは難しくなります。

 アドベリフィケーション施策が皆無の状態だと、ブランド毀損やアドフラウド等が引き起こす「ムダなインプレッション」にも広告費用を支払っているかもしれません。つまり、広告が表示されるたびに支払う「インプレッション単価(CPM)」ベースで支払っている広告費の中に、ムダが含まれる可能性が高いのです。とくに運用型広告(プログラマティック広告)の配信技術は高度に複雑化していることから、3つのリスクを回避するアドベリフィケーションが求められています。またMomentum社のようなベンダーを活用すると、広告の「配信前」「配信中」「配信後」の3段階においてリスク対策が可能になることを知っておきましょう。

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CVに貢献するチャネルを把握して広告費用を最適化しよう

 アトリビューションモデルを活用して分析すれば、コンバージョンに大きく貢献したチャネルを把握できます。従来であれば評価を行わなかった、コンバージョンをアシストする間接効果も含めて数値化できるのがポイントです。ユーザーの検討期間が長く、さまざまなメディアとの接点が多くなりやすいBtoBにおいては、アトリビューションモデルを活用した分析はとくに有効だといえます。できるところから、広告費用の最適化のためにもアトリビューションモデルを活かしてみましょう。
 また「ムダなインプレッション」にも広告費用を支払うことのないよう、アドベリフィケーションツールにも注目してみてください。

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