デジタル広告市場が拡大しているなか、ブランド価値や広告予算を守るために注目されているのが「アドベリフィケーション」です。不適切な配信面や不正なトラフィックから広告を守り、配信品質を高める仕組みとして、多くの広告主が導入を進めています。
そのため、不正な広告費の流出などに頭を悩ませている方にとって、アドベリフィケーションは欠かせない取り組みだと言えます。
この記事では、アドベリフィケーションの基本から重要性や種類、対策方法まで徹底的に解説します。デジタル広告詐欺を防ぐためのコツについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。


悪質サイトへの掲載

詐欺クリック 無効なインプレッション

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アドベリフィケーションとは
アドベリフィケーションとは、デジタル広告が適切な環境・条件で配信されているかを検証し、品質を担保する仕組みです。ブランド毀損や広告詐欺(アドフラウド)を防ぎ、ROI(投資利益率)の最大化を目指すうえで欠かせない取り組みとされています。
ここでは、アドベリフィケーションとは何か、デジタル広告詐欺への対策が求められる背景について解説します。
- アドベリフィケーションの概要
- アドベリフィケーションの歴史
- アドベリフィケーションの現状
アドベリフィケーションの概要
アドベリフィケーションとは、デジタル広告が適切なサイトに掲載され、正しく視認されているかを検証する仕組みです。
近年、DSP(Demand Side Platform)やアドネットワークの普及により、広告在庫の買い付けから配信、ターゲティングまでを自動化できるようになりました。その結果、広告運用は効率化した一方で、広告主が配信先を細かく把握することが難しくなり、望ましくないサイトへの掲載リスクも高まっています。
このような背景から、「アドベリフィケーション」として以下の3つの要素が重視されています。
出典元:経済産業省「デジタル広告の買い方改革に関する動向調査 7P」
- ブランドセーフティ
広告がブランド価値を損なう可能性のあるサイトに掲載されることを防ぎます。著作権侵害サイトやアダルトサイト、ヘイト系サイトなど、不適切なサイトへの広告の出稿によってユーザーの持つブランドイメージを毀損するリスクがあります。
- アドフラウド対策
プログラムやボットによる不正なインプレッションやクリックを防ぐ取り組みです。アドフラウドによって搾取される広告費は、反社会的勢力の資金源となるケースもあり、対策の重要性は年々高まっています。
- ビューアビリティ
広告がユーザーに実際に視認されているかを測定する指標です。一部のメディアでは、ユーザーが目にしていない広告であってもインプレッションとして計上され、費用が発生する場合があります。ビューアビリティの検証は、広告投資の効率性を高めるためにも欠かせません。
つまりアドベリフィケーションとは、広告の品質や自社のブランドイメージを守りつつ、広告の費用対効果を最大化するうえで欠かせない取り組みです。
アドベリフィケーションの歴史
アドベリフィケーションが本格的に注目されるようになったのは、海外・国内ともに特定の事件や業界の動きがきっかけです。インターネット広告は配信構造が複雑化し、広告主が配信先を細かく把握しにくい状況が続いていました。
その結果、望ましくない媒体への広告掲載や、不正な広告収益の発生が社会的問題として表面化し、透明性確保の仕組みが強く求められるようになったのです。
海外では2011年ごろからアドベリフィケーションが議論されていましたが、大きな注目を集めたのは2017年1月、IAB(アメリカのインターネット広告団体)の年次総会において、P&GのCBOであるマーク・プリチャード氏がインターネット広告の透明性に関する声明を発表してから認知が広まりました。
日本の業界内でも以前から課題意識はあったものの、一般的な認知が広がった契機は2017年末の『週刊東洋経済』特集「ネット広告の闇」と、2018年4月のNHK『クローズアップ現代+』で取り上げられた「漫画村事件」です。
漫画村は海賊版サイトで、大量の漫画コンテンツを無断公開し、広告収益で運営されていました。この広告収益には、大手企業が出稿した広告費も含まれており、結果として違法サイトの収入源となってしまっていたのです。
ブランド毀損や広告業界全体の信用問題につながり、アドベリフィケーションの重要性を国内でも強く意識させる出来事となりました。
アドベリフィケーションの現状
アドベリフィケーション推進協議会が行った「アドベリフィケーション意識調査2023レポート」を見ると、2018年と比較してブランド毀損リスクやアドフラウド発生率は改善傾向にあります。
ただし、入札戦略やブロッキング対策の有無によってリスクは大きく変動するため、依然としてアドベリフィケーション対策は不可欠です。実際に、各種プラットフォームの広告配信結果は以下のとおりです。
特に注目すべきは、ブロッキングなしのプラットフォームB広告配信結果です。調査では、ブロッキングを行えたプラットフォームA・Cと、行わなかったプラットフォームBで明確な差が出ました。(※ブロッキングとは、リスクがある場合に広告表示をブロックし、グレーアウトの代替バナーを表示するアドベリフィケーション対策のひとつ)
- ブロッキング有:自動入札切替後もブランド毀損リスクとIVT率が低下し、CV数も増加
- ブロッキング無:自動入札後にリスク指標が悪化し、広告詐欺が疑われるCVが多数発生(CV合計682件のうち、400件以上が1つのサイトで発生、2位のサイトも140件発生しているが、どちらのサイトも同じ企業が運営)
プラットフォーム側の対策や広告主の意識向上により、悪意ある無効トラフィック率は改善傾向が確認されています。しかし、MFA(Made-for-Advertising)サイトなど質の低い配信先への自動入札による流入が続いており、完全なリスク排除には至っていません。
そのため、近年では広告配信の質が改善されているものの、依然としてアドベリフィケーションは必須の取り組みと言えます。
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アドベリフィケーションの対策方法
アドベリフィケーション対策を講じることで、広告の透明性を高め、ブランド毀損やアドフラウドといったリスクの軽減につながります。ここでは、実際にアドベリフィケーション対策として活用されている代表的な手法を紹介します。
- アクセス解析用のタグを設定しユーザの動きをモニタリング
- セーフリスト・ブロックリストの活用
- 対策ツールの導入
アクセス解析用のタグを設定しユーザの動きをモニタリング
アクセス解析用タグを設置し、ユーザの行動データを詳細に追跡することで、不審なトラフィックや不正アクセスを迅速に検知するのもアドベリフィケーション対策のひとつです。タグによるデータ収集は、通常のアクセスパターンと異なる挙動を明確に捉えられます。
これにより、ボットによる操作や広告表示の異常な傾向を発見しやすくなります。モニタリングでよく見られる異常行動は以下のとおりです。
- 短時間で大量にページを遷移するIPアドレス
- 滞在時間がほぼゼロのアクセス
- 同一端末からの膨大なアクセス
- 繰り返し行われるリロードで読み込み
上記のような異常行動が見られる場合は、アドベリフィケーション対策が必須です。Google AnalyticsやTag Manager、アドベリフィケーション専用タグを活用し、日常的にアクセスログを確認できる体制の整備をおすすめします。
不審な動きが見つかれば、即座にアラートを発動できる仕組みづくりが理想的です。
セーフリスト・ブロックリストの活用
「配信先を限定するセーフリスト」「危険なサイトを排除するブロックリスト」の運用も、アドベリフィケーション対策における有効な手段のひとつです。
信頼性の高い媒体のみに広告を掲載し、不適切または危険性のあるサイトを除外することで、ブランドイメージの毀損や不正クリックの発生を抑えられます。
しかし、アドベリフィケーション対策として「セーフリスト・ブロックリスト」は非常に有効なものの、リストの管理には多大な労力が掛かってしまうのも事実です。リスト管理がおろそかになれば、途端に効力を発揮しなくなってしまう課題もあります。
そのため、セーフリスト・ブロックリストを活用するときは、アドベリフィケーションを専門とする事業者のリストを活用するのもポイントです。
たとえば、Momentum株式会社の「HYTRA DASHBOARD」はすべて機械判定+目視チェックによって作成されるセーフリスト・ブロックリストであり、日々更新によって高い品質を担保しています。自社の配信実績や第三者機関が提供するリストをもとに、定期的な更新・カスタマイズをおすすめします。
対策ツールの導入
アドベリフィケーション専用ツールを活用すれば、人的負荷を抑えつつ、高度な詐欺広告被害を検知できます。専用ツールなら、最新の脅威にリアルタイムで対応できるのが魅力です。広範囲の広告配信面を効率的にチェックできるため、安全性が確保しやすくなります。
また、不正広告表示を軽減できるだけでなく、運用担当者の負担を軽減できるのも魅力です。目視だけでは防ぎにくい不正クリック・掲載状況を防げるだけでなく、透明性の高い広告配信によって、広告主・代理店の信頼強化にも繋がります。
しかし、一言でアドベリフィケーション対策ツールとは言っても、その仕組みはさまざまです。導入目的や運用体制に応じて、機能の優先順位を明確したうえで複数のツールから比較検討するのをおすすめします。
アドベリフィケーション対策を行なって安全性の高い広告配信を実現するなら「Momentum」
安心して広告を配信するために、この機会にMomentumの「HYTRA DASHBOARD」と「HYTRA HORNET」をご検討ください。HYTRA DASHBOARDでは、広告の掲載先を細かくチェックし、配信に適さない場所をリスト化してお渡しします。
これにより、手間をかけずに品質を保ちながら、安心して広告を配信できるようになります。さらに、「HYTRA HORNET」では独自のトラフィック解析によって、不正なアクセスパターンを丁寧に分析するため、不正をしっかりと捉えてより健全な広告環境づくりをサポートします。
HYTRA DASHBOARDのリスト活用によって、日々の確認作業がスムーズになり、安定した配信品質を維持できます。また、HYTRA HORNETの分析によって、不正アクセスの検知精度が高まり、広告効果を最大化することが可能です。
広告配信をもっと安全に、そして無理なく続けられる環境を整えたい方は、ぜひこの機会にMomentumまでご相談ください。
アドベリフィケーション対策ツールの導入事例
インターネット広告の品質向上やリスク回避のため、アドベリフィケーションツールを導入する企業は増えています。ここでは、Momentumの「HYTRA DASHBOARD」をご活用いただいている企業様の事例をご紹介します。
【株式会社セプテーニ様】
導入前の課題
JICDAQの設立や業界全体の意識変化を背景に、クライアントからアドフラウドやブランドセーフティに関する問い合わせが急増。それまでは案件ごとに個別対応を行っていましたが、工数・コスト負担が大きく、安定した品質を確保するのが難しいという課題がありました。
導入後の効果
HYTRA DASHBOARDを導入することで、ブロックリストを活用した統一的なリスク対策が可能に。すべてのクライアントに一定品質の広告配信を提供できるようになり、運用工数も大幅に削減されました。さらに、既存システムとの連携で管理負担が軽減し、クライアントのガイドライン策定時にもご活用いただいております。
アドベリフィケーションに関してよくある質問
アドベリフィケーションとは、不正広告・詐欺広告に対する対策方法として、今や欠かせない取り組みのひとつです。ここでは、アドベリフィケーションに関してよくある質問について解説します。
- 対策ツールを導入する場合の費用の目安は?
- 対策ツールの選び方は?
対策ツールを導入する場合の費用の目安は?
月額固定料金
毎月一定額を支払う方式。小〜中規模の広告主や代理店向け。
目安:月額10〜100万円
従量課金制
広告費に応じて課金。大規模キャンペーンに適用されるケースが多い。
目安:広告費の0.5〜3%
ハイブリッド型
固定費+従量課金の組み合わせ。
目安:柔軟性あり
追加費用の事例
研修や初期の導入サポート(設定・カスタマイズ)など。
目安:10~50万円
対策ツールの選び方は?
必要な機能が揃っているか
ブランドセーフティ、アドフラウド対策、ビューアビリティ測定、リアルタイム監視など、自社に必要な機能が搭載されているか確認。
広告プラットフォームとの連携性
Google広告やMeta広告など、運用中のプラットフォームとスムーズに連携できるか。ダッシュボードやレポートが統合されていると管理が簡単に。
サポート体制の充実度
日本語でのサポート、初期設定のフォロー、トレーニングプログラムなど、導入後も安心して運用できるサポートが整っているかを確認。
リスティング広告の不正クリックが発生する原因と確認方法から対策までを徹底解説
アドベリフィケーション対策を行なって広告品質を最大化しよう
アドベリフィケーションとは、デジタル広告の健全性を保ちつつ、ブランド価値を損なわないための重要な取り組みです。アドフラウド対策やブランドセーフティ確保などの対応を行えば、広告費の無駄を抑えて、費用対効果を高められます。
アドベリフィケーション対策をしっかり行うことで、広告の安全性と成果は大きく変わります。もし、アドベリフィケーション対策に興味のある方は、この機会にMomentumの「HYTRA DASHBOARD」をご検討ください。
「HYTRA DASHBOARD」は広告配信に適さないプレースメントを自動でリスト化し、ブランドセーフティの面で安心を確保できます。広告配信の品質が安定させて、パフォーマンスの底上げも実現可能です。
また、日々の管理工数も削減でき、より戦略的な広告運用に時間を使えるようになります。担当者様の負担を軽減しつつ、広告の成果が伸びるよう徹底的にサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。