インターネット広告で「ブランド毀損」が発生する理由は?Web広告担当者がおさえておきたい対策もご紹介!

恩田基輝
2022-03-03
目次

 この記事はブランド毀損が発生する理由から、Web広告担当者がおさえておきたい対策まで解説します。

 

 

ブランドセーフティの概要

ブランドセーフティとは

 ブランドセーフティとは、広告主のブランドを毀損する危険性のあるメディア・広告枠への広告表示を防ぐことです。JICDAQ(一般社団法人 デジタル広告品質認証機構)に属するJIAA・JAAは下記の通り定義をしています。

 

広告掲載先の品質確保による広告主ブランドの安全性

参照:JIAA(一般社団法人日本広告業協会)https://www.jiaa.org/katudo/gdl/brandsafe_statement/

 

ブランドを毀損する不適切なページやコンテンツに広告が表示されるリスクから、安全性を確保する取り組みのこと

参照:JAA(日本アドバタイザーズ協会)https://www.jaa.or.jp/guideline/declaration/

※上記は「広告掲載不適切なページやコンテンツ」について記載をされていますが、「ブランド毀損リスク広告コンテンツ」も対象になり得ます。

 

・ブランドセーフティが起こる理由

 これらはインターネット広告の仕組みが複雑(現在のインターネット広告はDSP-SSPを活用してのプログラマティック取引が一般的)になってしまい、不正を働く隙間を与えてしまっているからです。そのため、ブランド毀損リスクがあるWebサイトに広告がでてしまいます。

 

・Momentumが考えるブランド毀損カテゴリの例

 弊社が考える「広告主のブランドを毀損するサイトの代表的なカテゴリ」としては下記になります。

 

・アダルト:年齢制限に関する注意画面が出るもの、R18指定に該当するもの、性的な内容のもの

・悪質CGM:不適切なコメントが書かれやすいユーザー参加型コンテンツ(2ちゃんねるなど)

・著作権侵害:著作物を第三者が転載することで侵害しているもの

・ポイントサイト:ポイントサイト、あるいはポイントサイトを推奨するサイトなど

・ヘイト:個人や人種などを差別、誹謗中傷している内容を含むもの

・危険物(仮称):毒物や違法薬物などの情報を取り扱うサイト

・グロテスク(仮称):事故映像や自殺関連情報など、ショックを受ける可能性の高い内容のもの

・ネガティブ:主にヘイトスピーチには該当しないものの、ネガティブな表現が目立つサイト

 

 

 具体例として、下記に5点のイメージを記載します。

・悲惨な事故の様子が掲載されているページに自動車の広告表示

・過度に露出している画像・映像があるページに塾の広告表示

・特定政治家を誹謗中傷しているサイトに堅い企業の広告表示

・火災で住宅が全焼したニュースのページに住宅会社の広告表示

・飛行機の墜落記事の横に航空会社の広告表示

 




ブランド毀損が起こってしまった事例

・イギリス・タイムズ紙の事例

 2017年、英タイムズが、「ユーチューブで公開中の過激主義者の動画に、大手企業の広告が配信」と報じたことにより、当時世界6位の広告会社ハバスがユーチューブ出稿を全面的に停止。同社の英国オフィスは当時、ドミノピザやエミレーツ航空、BBCなどを顧客にしており、ハバスのユーチューブへの広告出稿額は年間1億7500万ポンド(約240億円)に達していましたが、すべて取り下げています。英国政府についても、軍のリクルートや献血の呼びかけ等、すべての広告を取り下げています。

 

参照:https://forbesjapan.com/articles/detail/15613

 



・ユニリーバ・ジャパン社の事例

 2016年、動画配信プラットフォーム「AbemaTV」の中で、特定の政治団体が出演する番組が生放送され、番組内の広告枠で世界的な日用品メーカーの日本支社「ユニリーバ・ジャパン」の広告掲載が発覚。結果、視聴者からのクレームがあり、Twitterでも大きく炎上する。ユニリーバ・ジャパンは、AbemaTVとの直接的な取引はなかったものの、広告代理店を通し、プラットフォームに対して広告の出稿停止を求めるという事態に発展しました。

参照:https://xtrend.nikkei.com/atcl/case/nmg/18/102200226/

 

P&G社の事例

 特に世界においてアドベリフィケーションが広く認知されるようになったキッカケです。2017年1月末にアメリカのネット広告団体である、世界的なインタラクティブ広告業界団体IABの年次総会での出来事です。P&Gの最高ブランディング責任者CBOであるマーク・プリチャード氏が広告の透明性に対して非常に強いメッセージを投げかけ、透明性のあるメディアとしか取引をしないと発言しました。

参照:https://premium.toyokeizai.net/articles/-/17090

 

ブランドセーフティの対策の具体的な方法について

・配信先の指定&除外

 自社でリストを内製して各メディアに適用する方法です。オープンなRTBでもアドネットワークによっては、「推奨リスト(Safe List)」や「非推奨リスト(Unsafe List)」を用いて、管理画面にて設定をおこなうことで、広告を一定数制御できます。ただし、リストの作り方が属人化しないように、統一的な指標をつくって、共通の対応をおこなうことが重要になります。リスト作成には工数がかかってしまうというデメリットはありますが、比較的安価にできるアドベリフィケーション対策です。

 

・PMPの活用

 限られた広告主、メディアのみで構成されたアドネットワークのことをPMPといいます。各PMPによって基準は異なりますが、通常のアドネットワークを利用してオープンな入札取引(RTB)を行うと、どこに配信されるか把握しにくい為、より厳選された広告主とメディアで構成されるためブランド毀損の可能性が低いとされています。

 

・プレミアムメディアの予約型広告を活用

 運用型広告とは違い、純広告や記事広告を推奨する手法になります。どこのページに表示されるかコントロールがしにくい運用型広告と異なり、ページの枠や日時や期間を設定して広告を表示するのが予約型広告です。広告が表示される場所が確定しているため、ブランドイメージや価値の毀損リスクが格段に減ります。運用型広告のような効率性は落ちてしまいますが、ブランディング目的の広告には向いています。


ブランドセーフティの対策のメリット

 企業や商品のブランドは広告主にとってこれまで築き上げてきた重要なものです。ブランドリスク被害を金額として算出するのは非常に難しいですが、何十年もかけて大切に築き上げてきた自社のブランドイメージが一瞬にして崩れてしまいます。現に、ブランドイメージを損なう面に広告が出稿されており、広告を見た消費者がSNSで拡散をして、風評被害を受け、売上や株価に影響している企業もいます。インターネット広告は、オフラインの広告と比較すると、どうしても手軽に低価格で広告が配信でき、CPC・CPA・ROASといった指標を追いやすいため、重視しがちです。Web広告担当者は、改めて「自社のブランドが毀損されていないか」について十分に注意する必要があります。


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