【イベントレポート】Supership Day Session 5 ブランドマーケティングセッション前編

恩田基輝
2020-11-12
目次

2020年8月27日(木)、WEBセミナー「ブランドマーケティングセッション」を開催しました。

本セミナーでは、Integral Ad Science Japan株式会社アカウント・エグゼクティブ山口 武氏とのパネルディスカッションを通じて、アドベリフィケーションの最新トレンドについて理解を深めて頂くことを目的としました。

このnote記事では、WEBセミナーの内容やお話をまとめました。今回のイベントレポートでは、セミナー内容を前半と後半の2回に分けてnote記事を公開しております。

 

イベント概要

・開催日  

2020年8月27日(木)14:00−15:00

 

・イベント名

ブランドマーケティングセッション

 

・モメンタム社とスピーカーについて  

Momentum株式会社: 

Momentum株式会社は国内No.1のアドベリベンダー。ブランドセーフティ・アドフラウド対策・ブラックリストダッシュボードに関するサービスを提供。無価値な広告をゼロにする、をMissionにインターネット広告の透明性、健全性を追求する。

 

スピーカー:

Momentum株式会社 代表取締役社長  高頭 博志

学生時代に日本初のクラウドファンディングサービス、READYFOR?を中心メンバーとして立ち上げる。新卒でグリー株式会社入社。新規事業部門にて主に教育関連新規事業の立ち上げや、グリープラットフォーム内の広告媒体設計業務に従事。2014年9月にMomentum株式会社を創業。アドテク事業領域のアドベリフィケーション対策ソリューションを提供する。2017年にKDDIグループ「Supershipホールディングス」傘下になり、広告代理店向けブラックリスト提供サービス「HYTRA DASHBOARD」が好調。現任にて、業績拡大中。 



Integral Ad Science Japan株式会社:

IASは場所やデバイスを問わず、インターネット広告主のための安全かつ高品質な広告掲載面環境およびデジタルキャンペーンの透明性を提供するグローバル・テクノロジー企業。提供ソリューションはグローバルトップ100広告主様のうち80社、150社を超えるテクノロジーパートナー様が採用。IASのイノベーションと成長は高い評価を受けており、Inc.5000、Crain’s Fast 50、Forbes America’s Most Promising Companiesなどに選出。

 

ゲスト: 

Integral Ad Science Japan株式会社 山口 武 様

ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒。2006年、Oddcast, Inc. 入社。2008年、Experian Marketing Solutions, Inc(ニューヨーク本社)にて大手広告主のマーケティングキャンペーンのサポートや戦略的コンサルティング業務を経験し、2011年に帰国、コムスコアジャパン株式会社にてクライアントサービスマネージャーとしてアドベリフィケーションやネット視聴率など多岐にわたるソリューションの営業サポートから実施までの実務を担当。2015年4月より現職。

 

パネルディスカッション

Q1.インターネット広告における「ニューノーマル」とは?

高頭:

アドベリフィケーションの環境からお話したいと思います。「インターネット広告におけるニュー・ノーマル」について、山口さんはご意見ありますか?

 

山口様:

コロナ禍でメディア消費がインターネットに集中している中で、グローバル観点ではOTP(オンターゲットパーセンテージ)の計測やクッキーレスの潮流があり、ニューノーマルとして対応しないといけません。日本国内でも、業界団体や政府の動きが気になります。

 

高頭:

業界団体といえば、アドバタイザー宣言がありましたね。

 

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山口様:

去年の11月末に宣言が発表されて、安心安全な場所で広告がちゃんと人に見られていることを担保することが、アドベリフィケーションの根本的な部分です。第3者による計測やサプライチェーンの透明化など、業界全体でマーケットを健全化しましょうという、重要な宣言だと思います。

 

認証団体JICDAQの組織立ち上げも同じタイミングで発表され、広告主・広告代理店・媒体の3体が一緒に取り組まなければならないことが明確化されたので非常に重要なステップだったと思います。

 

高頭:

JAA宣言以前からJIAAも議論していましたが、買う側の責任についても言及され始めたのは、大きなトピックだと思います。JICDAQのように実行力を持って取り組む団体が立ち上がったことから、もっと大きなムーブメントになりそうですね。

他にも重要なトピックスとして、ネット健全化プロジェクトも立ち上がりましたね。

 

山口様:

ネット広告健全化プロジェクトは我々2社も参加していますが、JAA Web広告研究会と主要5社(Integral Ad Science Japan株式会社、株式会社Spider Labs、DoubleVerify Japan株式会社、日本オラクル株式会社(Oracle Data Cloud)、モメンタム株式会社)がチームとしてアドベリフィケーションの対策について啓蒙するプロジェクトです。

アドベリフィケーションを実施する必然性は感じているが始め方がわからないお客様もまだまだいっぱいらっしゃると思いますし、KPI設定やメディア購入など、広告運用の基礎的な部分に関わるので、啓蒙とサポートを行う組織が作れたのはすごく重要だと思います。

 

 高頭:

このようなプロジェクトを通じて、アドベリフィケーションについて情報発信するのは、有効な施策の1つと思います。

山口さんは実際にセミナーも行われましたよね?

 

山口様:

プロジェクトの事例作りでご一緒させていただきました。アドベリフィケーションを対策することでポジティブな効果があるのかを検証した結果を、広告代理店と広告主のご協力を得て発表しました。 

 

高頭:

あとは業界団体の枠組みに止まらず、行政でも動きがありました。

 

山口様:

ニュースで見た時はびっくりしました。大きなステップだと思っています。政府としても日本広告主の広告予算が、アドフラウドによって海外にお金が流れてしまうことは経済的にポジティブに捉えていないため、是正していかないといけないのがまず1つの理由だと思います。

 

 高頭:

ニュー・ノーマルは捉え方が色々あると思うんですけど、コロナ禍というよりもネットワーク広告ができた時点から議論されたことが形になった感じですよね。

 

山口様:

そうですね。あと、デジタルにおいてはニュー・ノーマルですが、マーケティング全般から見ると、元々あったノーマルでもあると思います。メディアの質を考慮して、安全安心で多くの人に見てもらえる場所は、屋外広告やテレビ広告では当たり前のように考えられていることだと思います。デジタルだけ安く多く出すことが主流になってしまっているので、そういった意味ではニューでもあり、すごくトラディショナルな動きだとも思います。



2.コロナ禍における国内のインターネット広告環境

高頭:

コロナ禍における国内のインターネット広告環境についてお話したいと思います。まずCCI(株式会社サイバー・コミュニケーションズ)がこの2020年度上期の状況を調査した結果ですが、コロナの影響で広告の予算が減少したお客様が6割以上となっています。検索やアフィリエイト以外の取引で幅広く減少が見られました。より購買に直結しそうなメニューはあまり影響を受けず、それ以外のブランディングを含むような広告手法について影響が大きかったというのは、納得感がありました。また、3月頃に下落が始まって、6月頃から徐々に回復しているものの、広告の買付単価に関しては、今だ低水準のままというデータもあります。大型広告主のキャンペーンが戻ってきていない状況です。  ias1

 

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山口様:

広告出稿量の減少はあると思います。ただ、その中でも新規の案件もあるので、出稿量の上下だけではなく、広告主の考え方自体も変わってきていると思います。あと、とくに外資系の広告主では、本社の影響もあるかと思います。USでは暴動やデモもあったので、一概に皆さん広告を出したくないというわけではなく、ちゃんと面を精査してトピックによって出し分ける企業も多くいたのではないかと考えられます。

 

高頭:

なるほど。今インターネット広告が少し危機的な状況にあるとすると、インターネットに接する時間は伸びているのにも関わらず、CPMが上がらないという課題があり、より高品質な面を作りだすことが重要ですね。

 

 

山口様:

当社でもこの状況下における消費者の意識調査をしました。特に4月の状況だと、広告主の皆様も出稿していいのか、自粛すべきなのか不安を持たれていました。結果としては、当初心配していたよりも、消費者は気にしていませんでした。もちろんニュースやコロナ関連のニュースサイトの閲覧も増えていて、コロナ関連に意識が向いていることはもちろんあります。ですが、ブランドセーフティの考え方だと、事故や事件などネガティブなトピックに広告が出ると好感度が下がる懸念がある中で、コロナ関連のニュースに広告が出ることに関しては69%の方が「好感度には変化ない」と回答しました。皆様が気にされるほど、消費者はネガティブに考えていないことがわかりました。

 

一概にコロナ関連全てのニュースがではなくて、コロナのニュースでもポジティブな話題もあるので、感情の読み取りが非常に重要になっています。特にニュース系のサイトでは、コロナを全面ブロックすると、出せるところが少なくなってしまうので、海外ではネガティブな話題だけブロッキングの設定をしています。

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消費者の意見では、コロナに関するニュースを避けるべきかは広告主の業種によって意見が分かれます。1番好ましくない意見が多かったのが旅行関連。見てる方たちからすると、「行けないのに旅行関連の広告が出るとちょっと淋しい」なんて気分が多かったと思います。食品飲料系は海外だとセンシティブに捉えられる事例もありますが、日本国内だと広告を出さないで欲しいという意見は少なかったです。コロナの隣に出てもいい広告だと、政府系やヘルスケア・製薬会社、食品・飲料があげられ、自粛生活に該当するカテゴリーにはポジティブな意見が集中していました。

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コロナもそうですし、事件・事故など予想外の事が起きる恐怖から、広告出稿を悩まれる広告主もいると思うんですけど、だからこそコンテンツのクオリティが非常に重要です。プロの記者・編集者が作っているので、ブログに比べると断然閲覧時間が長く、本来であれば広告を出すべき場所だと思います。ネガティブな部分だけを避ける取り組みは、今後需要が増えていくんじゃないかと思います。



今回の記事では、セミナーの前半をお伝えいたしました。後半の内容は、10月29日(木)に公開いたします。

 

後半も広告主のアドベリフィケーションに対する意識の高まりなど、業界の最新の話題が盛りだくさんです。是非ご覧くださいませ。

 

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