デジタル広告における不正問題の全体像~NHK クローズアップ現代+「追跡!クリック代行ビジネス」について~

中川 剛
2020-09-30
目次

こんにちは。Momentumの中川です。

タイトルにある通り、本日は2020年9月24日(木)のNHK クローズアップ現代+「追跡!クリック代行ビジネス」の放送を受けて本記事を執筆しております。

9月24日(木)にNHKクローズアップ現代+にて「追跡!クリック不正代行ビジネス」が放送されました。本稿は、番組で取り上げられた内容も含め、デジタル広告における不正問題の全体像を明確にしたいと思います。

 

■番組内容の概要とコメント

番組内では大きく2種類のクリック不正が取り上げられておりました。

  1. インフルエンサーのフォロワーや「いいね」、コメントを水増しする不正
  2. ある広告主が出した広告に対し、そのライバル企業が不正を行う業者に依頼して不正なクリックを発生させ、多額の広告費用を発生させて損害を与える不正

 

番組内で取り上げられていたクリック不正の手法については、主に3パターンありました。

  1. 1人が1台のスマホに100以上の大量のインスタグラムアプリをダウンロードし、全てユーザ名や自己紹介、文章作成のクセなどを使い分けて人力でインフルエンサーの「いいね」やフォロワー数の水増しを行う方法
  2. 広告に対して大量のクリックを自動で行うシステム
  3. 大量のスマートフォンを用意し、自動でクリックやフォローを行うようハックした「一人ボットファーム」

 

このようなクリック不正の仕組みは、インフルエンサーや企業が不正を行う業者に依頼を行い、そこから個人やさらなる不正業者へ流れていきます。番組内では、コロナ禍を受けて、副業としてクリック代行ビジネスを行う個人が増加している、ということも取り上げられておりました。もちろんこれは日本で行われております。



■Web広告における不正クリックの全体像及びその構造

上記のようなクリック不正に限らず、デジタル広告ではあらゆるところにリスクが潜んでいます。その一例をあげます。

  • 興味や購買の意思がないにもかかわらず、リスティング広告やバナー広告をクリックすることにインセンティブを設けて、人的に無駄な費用を発生させる
  • リスティング広告やバナー広告を、システムで自動的にクリックするように設定したボット
  • インフルエンサーのフォロー数や良いね数を購入し、有効なリーチを水増しすること
  • AmazonのようなECサイトや価格比較サイトでの口コミや満足度の星を水増し、ユーザーに誤った印象や情報を与えること
  • コンバージョンポイントのフォームにでたらめな情報を入力し、コンバージョンを水増しすること

 

インターネットが生活と密接している現在、数値でモノや情報を比較しやすくなったため、クリックや口コミの比較が簡単に行えます。しかし、その情報が「フェイク」だった場合、どうでしょうか。結果としては、顧客にとってもサービス提供企業にとっても、残念な結果に陥ることが考えられます。

 

一方、収益を上げているのは、「クリックを代行する業者」や「その業者からクリックのタスクを請け負った人」です。具体的には、不正にクリックや口コミを発生させ、メディア情報を偽り、情報を操作した側に有利な結果を得やすくなります。

 

■対策とまとめ

顧客視点に立つと、現状、上記のような「残念な体験」をしないためには、複数の情報ソースを調べること以外、方法がないとも言えます。例えば、商品について調べる際には、複数のECプラットフォームや口コミのチェック、評価の分散や高評価もしくは低評価している人が記載している内容の比較が考えられます。

 

一方、サービスを提供する企業の立場では、いくつか対策をとることが可能です。例えば、インフルエンサーマーケティングなどを行う際、不正な操作を行い実際の影響力より水増しされたインフルエンサーは使わないようチェックしたり、不正な広告費用が使われていないかCPA以外の指標もしっかりモニタリングする、というようなことです。

 

Momentumではインフルエンサーのフォロワー水増しなどをチェックするサービスや、過去のキャンペーンで不正が発生していないかなどを解析することができます。もし調査してみたい、トライアルを希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひお問合せください。

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