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「広告うざい」を受け入れてどう超えるか?ユーザーと企業がwin-winになる宣伝のかたち

2021/11/10 18:00:00 / by 恩田基輝

 企業にとって「広告」は、いまも昔も、利益につながる大切な宣伝手段です。しかし残念ながら、すべての消費者が広告をポジティブに受け入れているわけではありません。自社のサービスや商品を「いいもの」だと思ってもらうためにも、消費者には広告を好意的に受け取ってもらいたいですよね。そのほうが、宣伝効果も高いでしょうし。では多くの人に「いいもの」として認識してもらうには、どんな広告がいいのでしょうか。

広告はブロックしたい「邪魔なもの」である

 広告といえば、CMやつり革、看板、ネットのバナーなど、「企業が広告費を使って商品やサービスを大衆にアピールするもの」というイメージが強いですよね。しかし最近は、広告ブロックアプリが登場したり、広告を非表示にするサブスクやプレミアムサービスが登場したりと、広告を排除する動きが強まっています。テレビで録画した番組でCMをスキップできるのも、そういった動きのひとつです。そんな状況で、広告は期待通りの訴求力があるのでしょうか。

 

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・3割が「広告はわずらわしい」と感じている

 JIAAの調査では、3割以上の回答者が広告に対し「邪魔な・わずらわしい・うっとおしい」というイメージを持っており、約半数が「同じ広告が何度も表示されると、 嫌悪感を感じる」と答えています。さらに、「無料でサービスを利用できるなら、広告はあっても良い」という人が77.6%と、多数派だったそうです。*1

 このことから、消費者は「広告は積極的に見たいものではないが、サービスを無料で利用するためにはしかたない」と消極的に受け入れている様子がうかがえます。「広告は無料の代償」とでもいいましょうか。

 わたし自身、広告は「画面の隅にある邪魔なもの」という認識で、よっぽど興味がないかぎりアクセスしません。まぁ、無料サイトなら広告があるのもしょうがないし、無視すればいいだけですからね。でも動画中に広告が入るのはイヤなので、積極的にサブスクを利用しています。たぶん、わたしのような考えの人は多いのではないでしょうか。

 

・広告が表示されて「閉じた」人は37%

 広告が表示された際、「広告を閉じた」と「インターネット広告を、間違えてクリックした」がそれぞれ37.1%に対し、「インターネット広告をクリックした(意図的に)」が28.0%という調査結果もあります。*2

 一つの調査結果ではありますが、広告に対し積極的ではない反応をした人が、積極的な反応をした人の倍以上もいることが伺える数字です。そういった現状を踏まえてか、サイトにアクセスすると画面全体に表示される全面広告や、動画の冒頭でスキップできない強制広告、誤クリックを誘発するバナー配置など、「ユーザーに押し付ける広告」も使われています。でもそういう広告が増えると、ユーザーはさらに広告にうんざりして見るのをやめますよね。悪循環です。

 企業としては、相応の予算を組み、会議を重ねて出稿しているわけですから、できるだけ消費者にポジティブに受け取ってもらいたい。でも消費者は、広告を排除しようとする。さて、どうしたものか。それならば、従来の「広告」という概念、かたちを、少し変えてみるといいのでは?と思います。

 

「あなたの役に立った商品はこちらです」の破壊力

 広告って、「自社商品やサービスはこれだけすごいんですよ」「役に立つから使ってみてください」ってアピールするものじゃないですか。でもそれを求めていないユーザーからしたら宣伝は邪魔でしかないし、広告だとわかると避ける人もたくさんいます。だから、順番を変えてみるのです。「役に立つから使ってください」ではなく、「役に立ったのは我が社の商品です!」に。

 

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・ビーフストロガノフをつくったらキッコーマンが好きになった

 先日、「寒くなってきたしなにか冬っぽい料理でも……」とビーフストロガノフを検索したところ、なにやらよさそうなレシピを見つけました。つくるのも簡単そうだし、今日はこれにしよう!料理をしている途中で気づいたのですが、実はわたしが見ていたサイトは、お醬油で有名なキッコーマンが運営しているレシピサイトだったのです。*3

 レシピにさりげなく「デルモンテ・完熟カットトマト」「デルモンテ・リコピンリッチ トマトケチャップ」「キッコーマンデリシャスソースウスター」と商品名が書かれていますが、要はカットトマトと、ケチャップと、ウスターソースがあればいい。サイトそのものは「レシピの紹介」なので、商品名が書かれていても「邪魔な広告」という印象はまったくありません。

 もしこのビーフストロガノフが気に入って、我が家の定番メニューになったとしたら、わたしは何度もこのレシピを見ることになります。そうなれば、スーパーで「あしたはビーフストロガノフにしよう。それにはカットトマトが必要だな。あっこれサイトで見たやつだ。これにしよう」としぜんと商品を手に取るかもしれません。

 おいしくできたビーフストロガノフを頬張りながら、「こういう宣伝のかたちもあるんだなぁ」と感心しました。

 

・ユーザーと企業がwin-winになる宣伝のかたち

 キッコーマンにかぎらず、レシピサイトを運営しているメーカーは数多くあります。たとえば味の素が運営する『AJINOMOTO PARK』では、「このレシピで使われている商品はこちら」と、写真つきで商品を紹介しています。

 ポトフのレシピでは、コンソメが使われていますね。*4 スーパーでそのパッケージを見たら、「あぁこれを買えばいいわけね」と手に取るでしょう。「この調味料は素晴らしいものです!」とアピールするのではなく、まず役立つレシピを提供し、「このレシピに使われているのはこれです」と自社製品をアピールする。

 こういう流れのほうが、スマートじゃないでしょうか?

 ユーザーからしたら「宣伝された」という印象はないので、「この調味料があればよりおいしくなるんだな」と素直に受け取れます。「この調味料買って!」と押し付けられるより、「お世話になったから次はこれを買おうかな」という気持ちにもなりやすい。そのサイトの固定ファンになれば定期的にアクセスしてくれるので、企業としても常連客候補をつくることができます。ユーザーとしても充実したレシピサイトは助かりますから、win-winですね。



ユーザーの日常に入り込む巧妙な「宣伝効果」

 「まずユーザーの役に立つ」という意味では、SNSも有効な宣伝方法です。企業やお店のSNSというと、セールのお知らせや商品紹介など「おもしろくない」もののイメージがありましたが、最近はそうではないものも増えています。ユーザーが日常的にアクセスしたくなる「コンテンツ」を用意し、企業が「さりげなく」自社商品をアピールする運用も多いのです。

 

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・思わずファンになる!SHARP公式ツイッターが大人気

 人気企業アカウントといえば、やっぱりSHARPでしょうか。フォロワーはなんと、82万人。山梨県民が丸ごとフォロワーのようなものです。人気の理由は単純で、「見ていておもしろいし役に立つから」。

 

 

 このツイート後、実際にこうつぶやき、1時間で約600のリプライがつきました。

 

 

 「献立を決めるのが面倒くさい」というユーザーの声を拾い、ツイッターをユーザー同士の交流の場として活用する。企業公式アカウントではありますが、堅苦しさは皆無で、「フォローしようかな」という気になりますよね。

 そうやってSHARPが身近な存在になれば、電子レンジを買うとき、「なんとなくSHARP」にするかもしれません。時折見かける「宣伝ツイート」を好意的に受け止め、「ちょっとこの商品試してみようかな」となる可能性もあります。消費者の「身近に存在する」というのは、なによりも宣伝になるのです。



・企業っぽさがないからこそフォローしたくなるSNS

  ほかにも、セキュリティや警備を請け負うセコムは、さまざまな防犯対策や災害時の行動など、「いざというときに役立つ知識」をつぶやいています。

 

 警備会社で66万人もフォロワーがいるって、すごいですよね。「とりあえずフォローしておいて、役立ちそうなものはチェックしておこう」と思っている人が多いのでしょう。もともと「セコム」という企業自体に興味がなかったとしても、よくタイムラインで見かけていたら、「防犯カメラはセコムにしようかな」となるかもしれません。

 また、インテリアショップのインスタグラムなんかも、「企業が運営する宣伝用アカウント」感がなく、フォロワー数が多いアカウントをよく見かけます。

 

 

 わたしはインテリアが好きなので、なにか買うつもりはありませんが、unicoのようなおしゃれインテリアアカウントをフォローしています。もしかしたら、こういう写真をきっかけに、いつかお店に足を運ぶかもしれません。

 「広告=企業が消費者にアピールするもの」というイメージでしたが、消費者がみずからアクセスしたくなるようなコンテンツを用意し、日常的にさりげなく宣伝する方法だってあるのです。

 

・クレームをリプライで解決する公式アカウント

 そういえば以前、「日本帰国中にアマゾンプライムを契約したがドイツでは動画が見れないからムダになった」というツイートをしたことがありました。その数時間後、なんとアマゾンの広報?かなにかの公式アカウントから、「解約と返金について」の案内が書かれたリプライが届いたのです。びっくりしました。ほかにも、「富士通のノートパソコンを買ったけど入力がなんかおかしい。わかる人いる?」とつぶやいたときも、「もしかしてこうではないですか?」と富士通の企業アカウントからリプライが来たり……。最近の企業は、結構エゴサーチしているんですね。

 わたしの何気ないツイートを見つけ、即座に解決策を提案してくれる。そうするとユーザーは、「なにかあってもすぐに解決してくれるんだな」といい印象を持ちます。企業SNSだって、消費者にフォローされるのを待つ受け身ではなく、自らユーザーに関わってもいいのです。そうやって企業から積極的にユーザーとコミュニケーションをとり、ユーザーにアピールしていくのも、新たな宣伝のかたちかもしれません。

 

おわりに

 ユーザーが広告にネガティブなイメージを持ち、ブロック手段も増えてきている現在、いかに「広告を受け入れてもらえるか」は広告の死活問題です。CMやつり革広告、バナーのような「企業が見せたいものをユーザーに見せる」という従来のやり方も、たしかに効果はあるでしょう。しかし「広告っぽい広告」をユーザーがさらに避けるようになれば、その宣伝効果はどんどん下がってしまいます。だからこそ、「ユーザー自分から関わりたくなる広告」であることが、大切だと思うのです。

 それは「お役立ち情報」や「見ていて楽しい時間」を提供することかもしれないし、わたしたちの日常に「コンテンツ」として存在することかもしれません。手段はいろいろあります。いずれにせよ、しぜんとユーザーの生活に入り込み存在を認知してもらうことが、今後の「広告」において、重要になっていくのではないでしょうか。

 

 

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・参考

*1 「『2019年インターネット広告に関するユーザー意識調査』 調査結果」一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)p7
https://www.jiaa.org/wp-content/uploads/2020/01/20191211_jiaa_user_survey_report_2019.pdf

*2「インターネット広告に関するアンケート調査」マイボイスコム株式会社
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000864.000007815.html

*3「ホームクッキング」kikkoman
https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00003038/index.html

*4「AJINOMOTO PARK」味の素
https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/703695/

 

 

 

Tags: 週刊アドベリニュース, 時事コラム, ブランドセーフティ

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Written by 恩田基輝

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