━今回取り上げる記事━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.大阪府警、ASPを捜査か<アドネットの闇> 重くなるウェブ広告関与の「代償」
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1.大阪府警、ASPを捜査か<アドネットの闇> 重くなるウェブ広告関与の「代償」
引用元:https://www.tsuhanshimbun.com/products/article_detail.php?product_id=5648
・記事まとめ
今回はこちらの記事に特化して、ニュースをお伝えできればと思います。
この記事では、昨年7月に薬機法違反で逮捕となった「ステラ漢方事件」を取り上げ、「あらたなメディア支配の構造」としてアドネットワークの仕組みを企業名を上げて解説。あくまで広告主に広告掲載を依頼された「仲介者」であるがゆえ醸成されづらい「遵法意識」に問題の本質があるとを指摘しています。その結果として、本来は「違反の蓋然性が高い広告」を水際で止めるべき配信事業社の「審査がザル」になってしまい、ユーザーのクリックを引き起こすための過激な表現が増え、「薬機法や景品表示法の観点から問題のある広告が大量に垂れ流されている」状態である、としています。
また、記事の最後に、逮捕された代理店も加盟していたJARO(日本広告審査機構)の専務に対してインタビューを行っています。インタビュー自体は、「JAROの領域は広告・表示の適正化」であり、個々の事業者の広告審査を適正化するものではないというJAROのスタンスを明確回答してから淡々と進んでいくものの、『構造改革「業務の範囲外」、適正化は「個々の事業者の責任」』という小見出しがついているためか、「ステラ漢方事件」以後もインターネット広告の構造的な問題が対策されず放置されている印象のまま、記事は終わります。
・アフィリエイト広告の「闇」について
本ブログでフォーカスしたいのは、記事タイトルにある「ASP」についてです。ここでいうASPとは、Affiliate Service Provider(アフィリエイトサービスプロバイダ)の略で、広告主とアフィリエイターをつなぎ、アフィリエイト広告配信の仕組みを提供する機能を持っています。件の「ステラ漢方事件」もアフィリエイト広告を利用されていました。取り上げている記事では、大阪府警がASPに対し家宅捜索を行っていることのみ記載されており、なにが問題になっているかは明らかにされておりません。ただ、アドネットワークとアフィリエイトは異なる仕組みで動いていますので、アドネットの闇=アフィリエイトの闇ではありません。
そこで、本記事では、アフィリエイト広告業界の問題点を明確にし、「闇」ではなく、解決可能な「課題」として設定したいと思います。
アフィリエイト広告のマーケットを確認しておきましょう。2020年度の市場規模は、前年度比5.2%増の3,258億円で、年々拡大傾向にあります(※1)。一方で、ネガティブなニュースが目立つ業界でもあります。直近の目立ったニュースをおさらいします。
- 2020年 7月 薬機法違反で広告主と担当代理店の担当者が逮捕(ステラ漢方事件)
- 2020年12月 JAROの2020年上半期の審査状況発表。「厳重警告」「警告」計12件のうち、アフィリエイト広告が関わる事例が11件を占める。
- 2020年12月 消費者庁がアフィリエイト広告関連企業の大規模調査へ
JAROの2020年上半期の審査結果のうち、最も重い「厳重警告」の内容を見ていくと、景品表示法違反や化粧品や医薬品の効能に関する薬機法違反、また、「定期購入」という契約条件を意図的に分かりづらくしているものが列挙されています。
厳重警告
(1) 「飲むだけでみるみる痩せる」とうたっているが、アフィリエイトサイトで痩身の根拠として掲載されたのは人工肛門の論文を加工したと思われるものであり、「初回限定価格500円」は5回購入が条件であり、表示が分かりにくいものだった。(健康食品/インターネット〔アフィリエイトサイト、自社通販サイト〕)
(2) ポータルサイトのインフィード広告からリンクした口コミサイトに「特許成分の○○なら10分で体の中から消臭」「今だけ500円」などとうたっていた。(健康食品/インターネット〔ポータルサイトインフィード、アフィリエイトサイト、自社通販サイト〕)
(3) 広告やアフィリエイトサイトなどで、「ステロイド頼りだったアトピーがせっけんを変えただけで?」などとアトピーに効くような内容をうたっていた。(せっけん〔化粧品〕/インターネット〔ニュースサイトインフィード、アフィリエイトサイト、自社通販サイト〕)
(4) 「飲むだけなのにマッサージの9倍もの脚痩せ効果!」「初回10円」と動画広告で言っていたが、同梱の請求明細書に16100円と書かれていた。(健康商品/インターネット〔動画共有サイトのアフィリエイト広告、自社通販サイト〕)(5) 上記(4)と同じ事例で、動画広告制作・運営事業者宛のもの。
インターネット広告業界としてこのような問題を放置しているわけではありません。例えば大手プラットフォームのYahoo!は広告審査の基準を随時見直しています。2020年上半期の広告審査レポートをみると、健康食品などの「定期購入」に関する基準を厳格化し、ユーザーにとって不利益が発生するような広告を非承認としています。その結果、2019年下半期は157,502件であった不当表示による非承認件数が、2020年上半期は628,384件と約4倍になっています。
・アフィリエイト広告のアドベリ関連のサービスまとめ
アフィリエイト広告業界も何もしていない訳ではありません。すでに個別に対応しているASPももちろんあります。ただ、一部の企業により不正が行われ、ネガティブなニュースが取り上げられているのも事実です。今後、より業界的なレギュレーションなどが厳格化され、ASPの役務やポリシーが見直されていくと思います。先んじて、現状アフィリエイト広告に関連するアドベリフィケーションのサービスをご紹介します。
- GMO NIKKO TRUE アフィリエイト
GMO NIKKOは広告主を対象に、URLごとのブランドセーフティ判定のサービスを提供しています。詳しい内容はこちらをご確認ください。広告掲載面として不適切なサイトを事前に防げるほか、NGカテゴリやNGワードの設定もできるようです。
- SPIDER LABS
アフィリエイト業界に特化しているわけではありませんが、アドフラウドを含むIVTを検知することが可能な「Spider AF」はインタースペース様などに利用されています。詳しい内容はこちら。
ログデータを解析し、不正なクリックをあぶりだすことができるようです。
- Momentum
Momentumでも既に大手ASPのバリューコマース様にURL単位のブランド毀損リスクスコアリングサービスを提供しております。今後もアフィリエイト業界の持続的な発展を支援するために協業を行ってまいります。
※1:矢野経済研究所 2020年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比5.2%増の3,258億円の見込