YouTube、全視聴数に占めるガイドライン違反コンテンツの視聴割合を公開

中川 剛
2021-04-16
目次

 YouTubeは2020年にコミュニティガイドラインに違反しているとして後に削除された動画の視聴回数が、全視聴割合のうち0.16~0.18%であることを明らかにしました。この割合は2019年からするとほぼ横ばいですが、2017年の0.64~0.72%からは減少傾向であることを明らかにしました。これらコンテンツへ配信された広告の割合が上記を違反していないコンテンツと同じ割合と仮定した場合、配信に使われた広告費は推定約35億円になると筆者は考えております。

━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  1. YouTubeコミュニティガイドラインとは
  2. YouTubeコミュニティガイドラインに違反している動画の割合
  3. 広告掲載による広告主のブランド毀損との関連について
  4. YouTubeコミュニティガイドラインに違反している動画に対して配信された広告の推定被害額
  5. YouTubeチャンネル配信推奨リストについて

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1.YouTubeコミュニティガイドラインとは


 YouTubeコミュニティガイドライン違反とは下記になります。

  • スパムと欺瞞行為:スパム、なりすまし 等
  • デリケートなコンテンツ:性的なコンテンツ、子供の安全を保つためのコンテンツ規制、自傷行為 等
  • 暴力的または危険なコンテンツ:暴力的コンテンツ、ヘイトスピーチ 等
  • 規制品:銃その他既製品について

上記のコミュニティガイドラインを違反すると、YouTubeはクリエイターの権利の一時的な制限からアカウント停止まで、さまざまな措置を講じる可能性があります。

 

2.YouTubeコミュニティガイドラインに違反している動画の割合

 YouTubeがこの3年で、コミュニティガイドライン違反コンテンツの視聴割合(以下VVR)の削除に力を入れていたのは2017年と2020年のVVRを比較しても明らかです。実数値として、2017年は0.64~0.72%だったことに対して、2020年は0.16~0.18%となってます。ただし、この数値はYouTubeサイドで対応できた件数によるため、YouTubeの信頼および安全部門で製品管理ディレクターを務めるJennifer O'Connor氏は「すべてを把握しているわけではない」とも述べていることに注意が必要です。

3.広告掲載による広告主のブランド毀損との関連について

 皆様が最も気になるのはYouTubeが行っているコンテンツの除外がブランド毀損リスクという観点からいうと十分かどうかが気になるところかと存じます。結論から申し上げると、YouTubeがコミュニティガイドラインに違反しているとして取り消していない動画(=YouTubeに現在も上がっている動画)の中にも、無視できない割合でブランド毀損リスクが含まれているコンテンツが存在してます。
 また、上記コミュニティガイドラインには「著作権違反」が含まれていないことに注意してください。YouTubeは当然のことながら著作権についても管理に力を入れており、上記コミュニティガイドラインとは別に著作権違反についても申し立て手順などを詳細に記したページを保有してます。
 
著作権違反コンテンツについてはYouTubeでもNGなコンテンツとなりますし、そのようなコンテンツに広告を配信されてしまうことは、広告主にとって違法なコンテンツに広告を通して名前が載ってしまう危険性を孕んでます。この点についてはTMIプライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社様と弊社が2020年12月に共催しましたウェビナーでも扱っておりますので、ご興味をお持ちの方は下記から資料並びにアーカイブ動画をご覧ください。


2020年12月9日開催ウェビナー資料ダウンロード2020年12月9日開催ウェビナーアーカイブ動画

 

4.ガイドライン違反のコンテンツにどれだけ広告費が使われているか計算してみました

 参考までに、ガイドライン違反のコンテンツにどれだけ広告費が使われているか、計算してみました。計算式は下記のとおりです。あくまで仮の数字であり、実際の広告費でありません。

  1. Googleが削除したコミュニティガイドラインに違反したコンテンツはYouTube全視聴割合のうち0.16~0.18%。
  2. 2019年のYouTubeが明らかにした広告費150億ドル(※引用元はこちら)(約1兆6000億円)
  3. 1,2から、2019年のYouTubeコミュニティガイドライン違反のコンテンツに配信されたと考えられる広告費は1兆6000億円×0.18=28億8,000万円
  4. 2020年の動画広告の成長率は対2019年比121.3%(※引用元はこちら)なので、YouTubeの傾向も変わらないと仮定して、28億8,000万円×1.213=34億9,344万円

 以上から、Googleが削除したコンテンツでも推定約35億円の広告費が発生しているのではないかと考えられます。ここから、弊社の基準からするとコミュニティガイドライン違反関連のみならず、著作権違反の問題があるコンテンツを計上すると、この金額はさらに膨らむ可能性が大きいです。


5.YouTubeチャンネル配信推奨リストについて

 YouTubeコミュニティガイドラインのカテゴリについては、弊社もブランド毀損の可能性ありとして、YouTube上で広告を配信しないようにする製品をご用意しております。このプロダクトをご提供する際には機械判定に加えて目視チェックも行っております。さらにこのプロダクトについては著作権違反コンテンツについても配信先をNGとしてます。詳細をご覧になられたい方は下記から資料をダウンロードください。
Channel Safe Listの資料ダウンロードはこちら また、広告主からもこのようなアドベリフィケーションの観点から見て対応が不十分な広告出稿を避けるべきだとの「アドバタイザーズ宣言」が出されていることは本ブログでもご紹介済みです。

JAA「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」解説記事を読む

アドバタイザー宣言

 

また、今年はJICDAQも発足するので、一層この分野への注目度は高まると考えられます。
※JICDAQについては下記の記事で解説しております。

一般社団法人 デジタル広告品質認証機構「JICDAQ」解説記事を読む
JICDAQ

 

 以上、YouTubeが明らかにした情報からガイドライン違反のボリュームをどうとらえるべきか、違反している動画に対して配信されてしまっている広告費の推計を算出しました。そして、YouTubeサイドの対応だけではアドバタイザーズ宣言やJICDAQの認証条件を満たすことはできないことが明らかにしてきました。このような実態を踏まえて、無駄のない広告運用をしていきましょう。

 

━今回取り上げたニュース━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

違反コンテンツ視聴の割合について

・YouTubeの違反動画、視聴回数は全体の0.16~0.18%--3年前から大幅減

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