動画広告はテレビCMを中心に活用されてきた広告手法ですが、最近ではインターネット上でも頻繁に活用されるようになってきました。ビジネスで活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。特にYouTubeやInstagramのような動画配信プラットフォームとの相性は良く、認知の拡大やサービス理解の促進に役立ちます。一方で配信方法によっては期待する効果が得られない可能性もあります。この記事では、動画広告のメリットや種類について解説します。動画広告を活用するときに注意すべきポイントも紹介しているので参考にしてください。
方法とは?
ヒントを得る
動画広告とは?
動画広告とは名称の通り、動画で商品やサービス、ブランドを訴求する広告です。例として、YouTubeには動画の再生前や動画の間に流れる広告があります。
動画広告の市場
サイバーエージェント社が発表した動画広告市場に関する調査によると、動画広告の市場規模は2021年は昨年対比で142.3%となる4,205億円に達する見通しです。更に、2022年は5,497億円、2025年は1兆465億円と、今後も伸び続ける見込みになっています。
出典:サイバーエージェント|動画広告市場推計・予測 (広告商品別)2020年-2025年
このように動画広告の市場が拡大している背景には、通信インフラの進化と生活様式の変化によるネット動画視聴ユーザーの増加があります。通信インフラの進化においては、スマートフォンの普及とデータ通信量の無制限化は動画広告市場の拡大に大きな影響を与えています。スマートフォンが普及したことで、動画を視聴できるユーザーが増加し、データ通信料の安い料金プランを各社が提供し始めたことで、多くの層が動画を視聴するようになりました。また2019年以降は、コロナにより家庭で過ごす時間が増えたことも、動画広告市場の成長に影響を与えています。
例えば、YouTubeやTVerなどの、インターネット上の動画コンテンツは、家に居ながら楽しめるコンテンツとして、多くのユーザーに利用されるようになりました。最近では、地上波放送や衛星放送を受信する機能がなく、YouTubeやTVerなどのアプリをインストールしてコンテンツや番組を視聴する「チューナーレステレビ」も登場しています。
このように、動画市場が拡大している背景にはインターネットを利用して動画を視聴するユーザーが増えたこと、そして誰もがインターネットにアクセスできるようなインフラが整備されたことがあげられます。
動画広告の効果
動画広告は、認知の拡大や広告理解の促進、利用意欲の醸成に効果的です。
出典:Supership|動画広告の効果的な活用方法 ~最新事例から見る動画広告をターゲティングに活かすには〜 #Japan IT Week 関西 講演レポート
動画広告には視覚と聴覚の2つに訴求できるという特徴があります。また一般的な15秒尺の動画には、静止画約450枚分の情報が含まれるため、多くの情報が伝えられます。
出典:「動画広告の効果的な活用方法 ~最新事例から見る動画広告をターゲティングに活かすには〜 #Japan IT Week 関西 講演レポート」
これにより、テキスト広告や画像広告よりも認知獲得や広告理解、利用意欲を高めやすい傾向があります。実際、Supership社の発表によると、動画広告は「商品を使ってみたい!」と思う「利用意欲」の割合が静止画の約7倍も高かったというデータが出ています。またインターネット上に配信する動画広告は、ユーザーの購買行動をすぐに促せるのも大きなメリットです。TVCMでは、たとえ広告で商品やサービスに興味を持った場合でも、自分で調べなければ商品ページにアクセスできません。
しかし動画広告では、商品ページへのリンクを広告に設置できるため、興味を持ったユーザーをシームレスに購入ページまで誘導できます。
動画広告のメリット
ここまで見てきたように動画広告を活用することで、様々な効果が得られます。次は動画広告を使うメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
見てもらいやすい
動画広告は、テキスト広告に比べて見てもらいやすい特徴があります。テキスト広告や画像広告は、視聴者が能動的に情報を読み込まなければ情報を理解できません。しかし動画広告は、文字や画像だけでなく動きや音声で注意を引くことができます。そのため、受動的に視聴している方や興味が薄い方にも訴求できます。
多くの情報を伝えられる
広告は最初にユーザーの注意を引かなければ見てもらえません。例えば、チラシは興味を引きにくい媒体の代表と言えるでしょう。ネット上の画像やテキストの広告も興味を持つ前に離脱されてしまうことは少なくありません。
一方、YouTubeやInstagramなどにおける動画広告には、数秒間広告を非表示にできない強制力があります。数秒ではありますが、興味を引くことができれば、最後まで見てもらえる可能性も高まります。
イメージ喚起しやすい
動画広告は実際の使用イメージを伝えやすいのも大きなメリットです。例えば「画像やテキストで商品の使い方を説明されてもイメージしにくい」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。動画広告であれば実際の使用シーンをそのまま伝えられます。
動画広告の配信後の効果測定が容易
動画広告のなかでも、ネット上の広告は効果測定がしやすいこともメリットの一つです。動画広告からどれだけの購買が発生したかはもちろん、動画のどの部分で離脱されているかも定量的に判断できます。そのため、PDCAを回しやすい特徴があります。
動画広告の種類
ここからは具体的な動画広告の種類について見ていきましょう。代表的な動画広告の使用シーンは、下記があげられます。
- YouTubeのような動画メディア媒体
- TikTokやTwitterなどのSNS
- TVerやNetflixなどのコネクテッドTV
その他、街中のデジタルサイネージやテレビCMも動画広告です。どこに広告を出すかによってアプローチできる層は異なります。そのため動画広告の目的や狙いたい成果に応じて出稿先を選ぶようにしましょう。
ここからは、インターネット上で配信できる動画広告に視点を当てて解説していきます。
インストリーム広告とアウトストリーム広告
インターネット上の動画広告には、インストリーム広告とアウトストリーム広告の2つがあります。インストリーム広告とは、視聴したい動画の再生前や再生中、再生後に流れる広告です。インストリーム広告の代表例は、YouTubeを再生する際に表示される動画広告です。
一方、アウトストリーム広告は、閲覧しているコンテンツとは無関係な場所に表示される広告です。例えば、ブログ記事を読んでいると途中で動画広告が設置されていることがあります。これはインリード広告と呼ばれ、アウトストリーム広告の1種です。その他、Webサイトのサイドバーに表示される「インバナー広告」もアウトストリーム広告の1種です。
動画広告の費用
動画広告は、プログラマティック広告のロジックで配信されます。プログラマティック広告では、設定された予算やターゲットに対し、最適な広告配信面が自動的に選択・入札・購買が行われ、広告が表示されます。
プログラマティック広告とは?こちらの記事をチェック!
【いまさら聞けない】プログラマティック広告の仕組みとその課題とは?
プラットフォームごとに差異はありますが、入稿用の動画があれば簡単に出稿が可能です。ここでは代表的な課金方式について見ていきましょう。目的に合わせた広告タイプと課金方式を選ぶことで無駄のない効率的な広告配信を手間なく実現できます。
出典:YouTube 広告を最大限に生かせる!広告フォーマット・設定ポイントの解説
用語まとめ
・CPM(Cost Per Mille):広告の1,000インプレッションごとに課金される方式
・vCPM(viewable Cost Per Mille):ユーザーが視認可能になった広告(※1)を1インプレッションとし、その状態で1,000インプレッションあった場合に課金される方式
・CPD(Cost Per Day):日数ベースでカウントし課金される方式
・CPV(Coet Per View):広告視聴1回ごとに課金される方式
・ブランドリフトの最大化:Google の機械学習と継続的なブランド効果測定に基づいて、購入の検討につながる可能性が高いユーザーに対して配信する方式
・CPA とコンバージョン数の最大化:指定の予算を消化しつつ、最大限のコンバージョンが得られるように、入札価格を自動調整する方式※1.ユーザーが視認可能になった広告とは、2秒以上にわたって 50% 以上の範囲が表示された広告を指します。
動画広告のデメリット
これまで見てきた通り、動画広告にはたくさんのメリットがありますが、一方で、注意すべきデメリットや見えないリスクもあります。
配信効果が媒体先に依存する可能性
ネット上の動画広告の多くは、プログラマティック広告のロジックで配信されるため、いつどこで配信されるか、完全にコントロールができない場合があります。
例えばYouTube広告の場合、どの動画に広告が表示されるかは選択できません。当然、広告で訴求したい内容と全く異なる動画を投稿しているチャンネル内に表示される可能性もあります。結果的に配信効果が良いチャンネルと悪いチャンネルに分かれてしまうケースもあるため注意しましょう。
ブランドイメージに悪影響を与える可能性がある
配信先に依存して、広告主のブランドや商品イメージに悪影響を与えてしまう可能性があります。例えば、頻繁に炎上する動画コンテンツや、人種差別を助長するようなヘイト系のチャンネルなどに広告が配信された場合、ブランドイメージへの影響は少なくないでしょう。
実際、ユニリーバ・ジャパン様の事例では、AbemaTV内で、特定の政治団体を支援した番組へ広告が掲載されてしまいました。意図的な広告掲載ではありませんでしたが、結果的に視聴者からバッシングされTwitterで広く知られることとなりました。最終的には、広告代理店を通じて動画広告ネットワークに広告出稿停止を求める事態に発展したのです。
このように配信先のイメージが広告主にも影響を与える可能性があることは、注意すべきポイントと言えるでしょう。
制作コストが高い
テキスト広告や画像広告に比べて高い制作コストが必要となるのも動画広告を配信するにあたって注意すべきポイントです。動画広告を作成するためには、脚本や素材を集めなければなりません。特に実写動画を配信する場合は、撮影にあたって様々な費用が発生します。金銭的な負担に加え、制作まで時間がかかることも覚えておきましょう。
動画広告の事例
ダンボールワン様
人材募集を目的として、YouTube広告を活用した事例です。約2週間で150,000回以上の再生数があり、従業員29名の会社に、28件もの応募がありました。
大阪ガスマーケティング様
Twitter広告を活用して新プランの告知をした事例です。結果として、他動画プラットフォームと比較してリーチ数を2.6倍まで増やすことに成功し、Twitter経由での契約も他動画プラットフォーム経由と比べ1.4倍に増加しました。
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— Daigasグループ通信 (@DaigasGroup) August 13, 2021
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動画広告の作り方
最後に動画広告を作る方法と、効果を高める方法を解説します。動画広告は、次の流れで作成しましょう。
- STEP1. 目的と目標を決める
- STEP2. 脚本を制作する
- STEP3. 各素材を用意する
- STEP4. 作成した動画を配信し、効果検証を行う
それぞれ順番に見ていきます。
STEP1. 目的と目標を決める
動画広告は目的によって、配信すべきプラットフォームや課金方式、最適な広告内容が異なります。脚本を作らずに動画の制作を始めてしまうと、目的からズレたコンテンツになってしまう可能性もあります。配信後に効果測定を実施するためにも、目的や数値目標は必ず設定し、企画書としてまとめておきましょう。
STEP2. 脚本を制作する
脚本とは、動画の流れを文書化した資料です。脚本を作成することで、動画の全体像と必要な素材が明確になります。脚本を作成せずに動画を作り始めてしまうと、素材集めにおいて無駄が生じたり、素材が足りなくなったりしてしまうため、必ず脚本から作成するようにしましょう。
STEP3. 各素材を用意する
脚本が完成したら、動画のパーツとなる素材を集めます。イラストや画像で作成するのか、実写映像によって作成するのか、音声や字幕はどうするかによって、必要な工数は異なります。配信する動画広告の内容によっては、素材集めが大きな負担となってしまいます。そのため、写真撮影やイラスト制作など外注しやすい作業については、外注しても良いでしょう。
STEP4. 作成した動画を配信し、効果検証を行う
素材が集まったら脚本をベースに、動画を作成します。動画が完成したらYouTubeやInstagramのプラットフォームにあわせて配信し、効果検証を行いましょう。効果検証や改善において大切なのは、動画広告の目的にあわせて指標を選ぶことです。また、効果検証はフェーズによってみるべき項目が異なります。ここからは目的ごとに特に重視すべき指標を解説します。
認知拡大に関する指標
認知の拡大にあたっては、下記の指標を確認しましょう。
- 表示回数
- 再生回数
- UU(ユニークユーザー数)
まずは「どのくらいの数にリーチできているか」「リーチした対象の何名が動画を再生しているか」が最初に見るべき指標です。また同じユーザーが何度も動画を再生している可能性もあるため、UU(ユニークユーザー数)も確かめましょう。
理解促進に関する指標
動画広告を通して、サービスや商品に関する理解度を高めることが目的の場合、次の2つが重要な指標となります。
- 視聴完了率
- 平均再生時間
サービスや商品を理解してもらうためには、動画を最後まで見てもらうことが欠かせません。これらの指標を通して、どれだけの方が最後まで見ているかチェックしましょう。またプラットフォームによっては、動画ごとに離脱率が高い場所も確認できます。これらの指標を使って動画広告を改善することで理解促進につながる動画を配信できます。
コンバージョン(購買)に関する指標
購買を目的とした動画広告の場合、次の指標を確認しましょう。
- クリック数
- 問い合わせ、会員登録数
- 売上
特に重要なのは、クリック数です。クリック数は、購買に直結する指標で、動画広告の良し悪しを判断する際に役立ちます。例えば、視聴完了率や平均再生時間が高くても、クリック率が高くなければ、購買を目的とした動画としては訴求が弱いと判断できます。このように目的によって、チェックすべき指標が異なります。そのため繰り返しになりますが、動画広告を配信する際は、目的や目標を最初に設定することが何より大切です。
動画広告の効果を高めるポイント
動画広告にはリスクが伴うことがありますが、プラットフォームによっては対策することも可能です。
効果が悪い面は積極的に省いていく
プラットフォームによっては、配信先が指定できるので、効果が比較的良くない出稿面は除外設定していくと、配信効果を改善が図れます。例えば、YouTube広告であれば広告配信の管理画面からプレースメントの設定が可能で、配信除外設定や配信推奨が設定できます。
アドベリフィケーション対策を行う
広告配信ではリスクを限りなく減らすため、アドベリフィケーション対策(ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティ)をしながら実施することが適切です。弊社もアドベリフィケーション事業をしている1社です。動画広告でお困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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まとめ
トレンドである動画広告の仕組みからリスク対策まで解説しました。動画広告を活用するメリットは、市場として大きく伸びており、認知拡大から購買訴求まで目的別に合わせて利用することができ、さらに広告出稿後の効果検証もしやすいことが言えます。一方で、動画広告の出稿にはリスクが伴うケースもあるため、できる限りの対策を行い広告効果を最大限にするための工夫が重要です。
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