近年では、多くの広告主がリマーケティングを導入しています。リマーケティングは追従型広告とも呼ばれ、一度は興味を示した人を対象にするために成果が出やすく、人気のWeb広告手法です。しかし、リマーケティングの中でも、成果の出やすい「動的リマーケティング」の仕組みを把握している人は少ないのではないでしょうか?
動的リマーケティングとは、わかりやすくいえば「リマーケティングの進化版」です。動的リマーケティングを始める前に、CVが発生する仕組みや配信可能な媒体についておさらいしておきましょう。本記事では、動的リマーケティングの基礎知識や他のリマーケティングとの違いなどを解説します。
方法とは?
ヒントを得る
動的リマーケティングとは
動的リマーケティング(ダイナミックリマーケティング)とは、自社サイトやアプリでユーザーが閲覧した商品やサービスを広告クリエイティブとして自動生成し、後追いで配信する機能です。サイト内の行動履歴や閲覧記録と商品情報をマッチさせて、ユーザーの興味・関心に合った訴求を行えます。他のリマーケティング広告よりも、多くの情報を収集できることから正確なターゲティングが可能です。そのためクリック率やコンバージョン率が高い広告として知られています。
動的リマーケティングは、似た商品やサービスが多く条件ごとに比較したいというユーザーの心理が働く業種の広告として適した広告です。例えば、ECサイトなどの小売業、旅行業界や不動産業界などと相性がよい手法といえるでしょう。
CV(コンバージョン)が発生する仕組み
動的リマーケティングでは、データに基づいて広告クリエイティブを自動生成させます。大前提として、広告配信システムに広告主の商品データフィードを接続させることが必要です。接続した上で、次のようなユーザーの行動に関連したデータをインプットします。
- 閲覧した商品ページ
- サイト来訪回数
- その他の行動データ
サイトを訪問したユーザーの行動と事前に設定した商品情報を連動させることで、システムがデータフィードの中からユーザーに商品を提案する仕組みです。ほぼリアルタイムの行動データから、有効な広告クリエイティブが自動生成されるので、広告主から重宝されています。このように、コンバージョンにつながる有効な広告クリエイティブを自動生成させるために、次のような準備が必要です。
- 適切なタグを設置する
- フィードを最新の情報にする
- ユーザーが分かりやすい情報
配信可能なプラットフォーム
動的リマーケティングを機能させるためには、サイトを訪問したユーザーの行動を追跡する技術が必要になります。高度なトラッキング技術が必要とされることから、どの媒体でも動的リマーケティングに対応できるわけではありません。
ここでは、動的リマーケティングに対応している媒体をご紹介します。
媒体名 |
広告の種類 |
|
動的リマーケティング広告 ショッピング広告 |
Criteo |
ダイナミックリターゲティング広告 |
Yahoo! JAPAN |
動的ディスプレイ広告 |
Facebook・Instagram |
ダイナミック広告 |
LINE For Business |
LINE Dynamic Ads |
TikTok For Business |
ダイナミック広告 |
なおリターゲティングという名称がありますが、リマーケティングとの間に基本的な違いはありません。いずれも、ユーザーのサイト内行動を追跡して広告クリエイティブを自動生成させます。名称が異なる理由は、媒体や細かな仕様の違いです。
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動的リマーケティングを活用するメリット
ここではGoogleの動的リマーケティングを例に、広告主にとってのメリットを3つご紹介します。
- 成果につながりやすい
- 広告サイズが自動で最適化される
- 広告費を抑えやすい
では、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
1. 成果につながりやすい
ユーザーが過去に関心を持って見たけれども買わなかった商品やサービスの情報を動的に配信することで、見込みのあるユーザーにアプローチが可能です。リンク先の異なる複数の商品画像を1つの広告枠に表示できるので、ユーザーの目に留まりやすくなります。その結果、ユーザーの購買意欲を刺激でき、高いクリック率やコンバージョン率を期待できるというわけです。
2. 広告サイズが自動で最適化される
動的リマーケティングでは、過去のユーザー行動データをもとに広告サイズが自動で調整されるので手動で調整する手間を省けます。さらにもっとも成果を見込めるレイアウトで広告は配置されるので、効果的な広告運用が可能です。また広告主側でクリエイティブやテキストの準備が不要な点もメリットといえるでしょう。
3. 広告費を抑えやすい
動的リマーケティングは、低予算でも広告を打てる点がメリットです。出稿時に必要な最低額の定めがなく、配信の一時停止も行えます。費用対効果を測るために、テスト運用も気軽にできるでしょう。広告が表示されるたびリアルタイムで入札単価は最適化されるので、手動による単価設定も不要です。
他にもあるリマーケティングの種類
動的リマーケティングは、リマーケティング広告の1つです。ここでは、他にどのようなリマーケティング広告があるのか見ていきましょう。
一般的な標準のリマーケティング
標準のリマーケティングとは、一度自社サイトを訪れたユーザーに対して、バナー広告やテキスト広告を配信する広告形態です。さまざまな商品・サービスの広告として使いやすく、バナーやテキストを準備すれば配信できます。ユーザー属性ごとに配信内容を調整できますが、ユーザー行動を追跡して個別に広告の内容を変化させることはできません。ターゲットの興味にあわせピンポイントで訴求できる動的リマーケティングは、この標準のリマーケティングを進化させたものです。
静的リマーケティング
静的リマーケティングとは、Googleアナリティクス リマーケティングのことです。静的リマーケティングでは、ディメンションや指標などのデータをもとに最適なユーザー属性のリストを作成した上で、広告を配信します。
動画リマーケティング
動画リターゲティングとは、自社のYouTubeチャンネルで動画を視聴したユーザーにリーチする広告手法です。Google広告アカウントとYouTubeチャンネルを紐付けすることで、視聴実績に基づいた広告を配信できるようになります。
動画リマーケティングに使用するユーザーリストは、動画を高く評価をしたりチャンネル登録・共有したりしたユーザーから作成可能です。テキストやバナーで広告を配信するより広告費用は高くなりがちですが、動画による認知拡大を狙っているなら高い効果が期待できます。
検索広告向けリマーケティング(RLSA)
RLSA(Remarketing Lists for Search Ads)とは、自社サイトに一度訪問したことのあるユーザーが再度検索した際に広告を上位表示させる機能のことです。リマーケティングリストをベースにした検索連動型広告(リスティング広告)のことで、Google広告およびYahoo!広告で設定できます。これは、自社サイトへの訪問歴のあるユーザーへの入札価格を高くするなどして、配信先を調整する手法です。RLSAなら配信先を自社商材に関心を持つユーザーに絞り込めるので、広告費を抑えつつより効率的な広告運用が可能になります。
アプリ向けの動的リマーケティング
アプリ向けの動的リマーケティングとは、インストールした後アプリを使用していないユーザーに利用を促すための広告手法です。ユーザーを自社アプリに呼び戻して利用率やエンゲージメントを高めることを目的としています。アプリ内の行動データをもとに広告を配信し、他社のアプリなどに広告が表示される手法です。アプリ向けの動的リマーケティングは、ユーザーのアプリ利用が収益につながるゲームやECなどに向いています。なおアプリ向けとウェブ向けでは、動的リマーケティングの設定方法が異なるので注意してください。
動的リマーケティングにおすすめな業種一覧
動的リマーケティング広告なら、1つの広告枠の中でリンク先の異なる画像を設置して、複数の商品をユーザーに見せることができます。そのため品目の多い商品・サービスを取り扱う業種に最適な広告形態です。ここでは、動的リマーケティングの活用がおすすめの業種やサービスをご紹介します。
業種やサービス |
適している理由 |
EC(小売) |
サイズ、カラー、素材などの選択肢が豊富で過去に閲覧した商品に関連するアイテムも多いため、おすすめ商品を提案できる |
求人ポータル |
求職者の興味をひく給与や勤務形態など多様な条件を組み合わせて、数多くの求人募集から最適なものを提案できる |
不動産ポータル |
物件選びの際に必要な間取り・価格(家賃)・最寄り駅など複数の条件を組み合わせて、ユーザーの希望に合うものを提案できる |
旅行・ホテル・フライト |
予算・目的地・日程など、ユーザーの検索ニーズに応じた多様なサービスを提案できる |
広告の信頼性確保にはアドベリフィケーションツールがおすすめ
動的リマーケティングがユーザーに受け入れられるのも、レコメンデーションエンジンを活用したWeb広告への信頼性があればこそです。インターネット広告の取引が便利になる一方、違法サイトやbotなどによる不正な企みに巻き込まれるとユーザーからの信頼性を失いかねないリスクがあります。
例えば代表的な「プログラマティック広告(運用型広告)」では、自社の広告が掲載されるサイトを選択できません。そのため広告掲載による企業ブランド毀損リスクへの対策が必要となります。またbotなどによる無効なインプレッションやクリックによって、広告費が不正に搾取される可能性もあるのです。そこで、自社の広告をリアルタイムで管理して検証するアドベリフィケーションツールの活用が重要になります。Momentum社のアドベリフィケーションツールで検証できるのは、次の3つです。
- ブランドセーフティ
- アドフラウド
- ビューアビリティ
これにより、「いつ、どこに表示され、誰に見られて、費用がいくらかかっているのか」を把握できるようになるわけです。Momentum社のようなアドベリフィケーションベンダーを活用すると、次の広告配信の3つのタイミングでWeb広告のリスク対策が可能になります。
- 広告配信前(Pre)
- 広告配信中(Post)
- 広告配信後(After)
もちろん、広告を表示しないブロックリストや、広告を表示するサイトを指定するセーフリストを自社で作成する方法も有効です。ベンダーが提供するリストは更新頻度が高いことから、より高い効果を期待できることも知っておきましょう。
≫≫ アドベリフィケーションツールのおすすめベンダー5選を徹底比較!仕組みから費用まで徹底解説
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動的リマーケティングでユーザーに合った広告を配信しよう
動的リマーケティングを活用すれば、ユーザーの好みや興味・関心にあわせてピンポイントで訴求できます。ユーザーが比較検討したくなるような数多くの品目やサービスを取り扱っているなら、動的リマーケティングは有効な広告手法です。合わせて、広告の信頼性確保に役立つアドベリフィケーションツールもご紹介しました。簡単に手間なく安い価格で提供できるプログラマティック広告を、安心・安全に活用するためにも導入を検討されてはいかがでしょう。