この度、広告主を対象としたアドベリフィケーションに関する認知率と対策率の調査資料を発表いたしました。同様の調査を2018年に実施しており、2年ぶりの実施になります。
この記事では、2018年版と2020年版の調査結果を比較しながら、2年間のアドベリフィケーションのマーケット状況の考察と、今後の課題について考察していきます。また、本資料のダウンロードフォームがございますので、社内での共有などにご利用いただければと思います。
広告の新しいインフラ アドベリフィケーション
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調査結果サマリ
・アドベリフィケーション関連のキーワードの「名称を知っている」層が全キーワードで5割超
・アドベリフィケーションに関する「対策をとっている」層が4割を超え、「対策をとっていない」層を逆転
・広告主の40%以上がアドベリフィケーションを代理店や配信プラットフォーム選定の条件に
調査概要
調査名称 :アドベリフィケーションに関する意識調査2020
調査期間 :2020年2月4日~2月6日
サンプル数:402名
対 象 :上場企業のマーケティング・広告・広報部門に所属する担当者、メディア事業で自社媒体の広告事業に携わる担当者
調査会社 :株式会社マクロミル
本記事の語句の定義
アドベリフィケーション
アドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティに配慮した、不適切な広告配信を防ぐための広告価値毀損測定の仕組みのこと。
アドフラウド
botなどを使い無効なインプレッションやクリックによって広告費用を騙し取る不正広告のこと。
ブランドセーフティ
広告が不適当な掲載場所に表示されることによるブランド毀損を防ぐこと。
ビューアビリティ
配信された広告掲載インプレッションのうち、実際にユーザーが視認できる状態にあったインプレッションの比率のこと。
アドベリフィケーションの認知率の変化について
回答結果:「名称を知っている」層がすべてのキーワードで5割超
2018年の調査と比較し、「名称を知っている」層が、すべてのキーワードで5割を超え、「名称を知らない」層を逆転しました。しかしながら、、「名称は知っている」という回答の中で最も増加したのは、「名称は知っているが内容を知らない」層ということも明らかになりました。
つまり、名称の認知率は半数を超えたものの、「名称も内容も知っている」層は微増にとどまりました。今後はアドベリフィケーションというキーワードとともに、具体的なリスクの内容や対策の方法を広めてい必要があることがあります。
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Q1.回答結果グラフ:名称を知っている/知らない層の比較
「名称を知っている」割合の変化 < 2018年→ 2020年 >
・アドベリフィケーション:31.4% → 56.8%
・ブランドセーフティ :58.2% → 64.8%
・アドフラウド :36.3% → 56.1%
・ビューアビリティ :39.5% → 54.7%
Q1.回答結果グラフ:「知っている」層の内訳
●「名称は知っているけど内容は知らない」割合の変化 < 2018年 → 2020年 >
・アドベリフィケーション:12.2% → 27.2%
・ブランドセーフティ :21.4% → 26%
・アドフラウド :11.2% → 24.8%
・ビューアビリティ :14.9% → 23.1%
Q1.回答結果グラフ:回答結果詳細グラフ
Q1.回答結果データ
▼本調査の資料は下記よりダウンロード頂けます▼
リスク対策の実施率
回答結果:全カテゴリで「対策をとっている」層が4割を超え、「対策をとっていない」層を逆転
「対策をとっている」という回答がすべてのカテゴリで40%を超え、2018年度の調査から2倍以上増加しました。また、「対策をとっていない」と回答した方は2018年の約55%から約35%以下まで下がりまし、「分からない」と回答した層も低下の傾向を見せています。
内訳を詳しく見ていくと、2018年に45%以上だった「対策をとっていないが、今後対策をとっていきたい」と回答した層が半分以下の約20%になりました。逆に、2018年は20%を下回っていた「対策をとっている」層が40%を超え、実際に対策を実施した層が2倍以上増加しました。「対策をとっているかどうか、わからない」「対策をとっていないし、今後も対策をとりたいと思わない」の層の割合はほぼ横這いなので、2018年に「対策をとっていないが、今後対策をとっていきたい」層が実際に対策を行ったと思われます。
また一方で、「対策をとっている。またはとったことがあるが、今後も対策をとりたいと思わない」「対策をとっていないし、今後も対策をとりたいと思わない」層も増えています。認知率も上がり、一定の効果が観測できた結果、「対策をしない」という選択をする企業も出てきたようです。
Q2.回答結果グラフ:リスク対策の実施率
・「対策をとっている」割合の変化 < 2018年 → 2020年 >
ブランドセーフティ :21.4% → 48.8%
アドフラウド :13.4% → 44.4%
ビューアビリティ :15.9% → 41.5%
Q2.回答結果グラフ:リスク対策の実施率の回答内訳
アドベリフィケーションに取組んだ理由
回答結果:実際に被害を確認し、対策をとった層が大幅アップ
対策のきっかけになったのは、「アドフラウドやブランド毀損が問題になっているから」という問題意識や、「大手企業の導入事例を見て」という回答がそれぞれ40%以上でトップでした。2018年から大幅にアップした項目は、「ブランド毀損の事故が起こった」、「アドフラウドの被害にあった」、「ビューアビリティが確保できていない状態だった」の3点で、実害が導入のきっかけとなったケースが多いことが明らかになりました。認知率の向上とともに、今まで見えていなかった問題が顕在化し、対策のきっかけになったことが分かりました。
Q3.回答結果グラフ:取り組んだきっかけ回答グラフ
・回答変化率 < 2018年 → 2020年 >
ブランド毀損の事故が起こった :2.2% → 22.3%
アドフラウドの被害にあった :1.1% → 9.1%
ビューアビリティが確保できていない状態だった:3.8% → 16.5%
アドベリフィケーションに取組まない理由
回答結果:対策をとらない理由は「社内で問題になったことがない」が約25~30%
対策をとらない理由は「社内で問題になったことがない」が約25~30%で、次いで「予算が無いから」が約21~27%、「対策方法が分からないから」が17.3~21.3%でした。引き続き認知率を向上させていくとともに、今後は具体的な対策方法及び、その費用や工数などを明確にしていく必要があります。
Q4.回答結果グラフ:取り組まない理由-ブランドセーフティ
Q4.回答結果グラフ:取り組まない理由-アドフラウド
Q4.回答結果グラフ:取り組まない理由-ビューアビリティ
対策しない理由 TOP5
●社内で問題になった(議題にあがった)ことが無かったから:25.0~30.9%
●予算がないから :21.3~27.2%
●対策方法が分からないから :17.3~21.3%
●今回の調査までこのキーワードを知らなかったから :18.8~19.8%
●担当するメンバーやリソースがないから :13.8~19.8%
アドバタイザーは、アドベリフィケーションをパートナー選定時の条件にしているか
回答結果:アドバタイザーの40%以上がアドベリフィケーションを代理店や配信プラットフォーム選定の条件に
アドバタイザーがパートナーを選定する際、アドベリフィケーションに関する対策実施の有無を条件にしている、という回答が40%を超えました。また、アドベリフィケーションを選定の条件に入れていない層のうち、13%は「選定の条件に入れていないが今後は入れようと考えている」と回答しました。
Q5.回答結果グラフ:パートナー選定時の条件について
調査結果からみるアドベリフィケーションの現状
2019年末にJAAが「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」を発表し、業界としてアドベリフィケーションに問題取り組んでいく姿勢が表明されました。本調査でも、2018年の調査と比較して、アドベリフィケーションに関する認知率が大幅に向上し、半数以上の方が知っているキーワードになっている事が分かりました。さらに実際に対策を行っている企業が4割を超え、実際の動きにむずびついている事が明らかになりました。
今後は、引き続きアドベリフィケーションがもっと広く認知される活動を行いつつ、この問題がより深く理解され、有効なアクションが選択できるように、有益な情報の発信やイベントの開催、導入事例の公開などを行ってまいります。
本調査資料のダウンロードはこちらから
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