ITP規制とは?Cookie規制の制限が行われている理由をわかりやすく解説

Momentumブログ編集部
2024-06-04
目次

ITP規制は、プライバシーや個人情報の保護を目的とした、Apple社開発のWebブラウジングにおけるCookie取得などに関する制限です。
広告やコンバージョン計測などに対する影響が発生します。

本記事のテーマはITP規制です。
この記事を読めば、概要や実施される理由、影響と対策について理解を深められます。ぜひ参考にしてください。

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ITPとは

ITPとは

Intelligent Tracking Preventionの略であるITPとは、Apple社が開発したWebブラウジング「Safari」の個人情報を守る機能のことです。
Cookieの取得などWebサイトからのデータ収集と個人情報のトラッキング制限を行っています。

ITPの主な機能と影響は以下の通りです。

機能

影響

・行動を追跡し分析するトラッキングの制限
・ユーザーのデータに関する蓄積を防止
・正しいコンバージョン測定ができなくなる
・ターゲティングの精度が落ちる
・リターゲティング広告が活用できない

ITP規制とは?

ITP規制とは、Apple社のブラウジングにおけるプライバシー保護機能を活用したCookie取得などに関する制限のことです。
以下のITPにおけるアップデートを繰り返し、規制の強化を行っています。

バージョン

発表時期

主な規制内容

1.0

2017年9月

・最終インターアクションから24時間でサードパーティCookieを無効にする
・インターアクションがなければ、24時間を待たずに無効にする
・インターアクションの有無を問わず、発行から30日でサードパーティCookieを削除

2.0

2018年9月

・サードパーティCookieを即時無効化
・4つ以上のドメインからリダイレクトされているファーストパーティCookieも無効にし削除

2.1

2019年3月

・JavaScriptを利用する場合のファーストパーティCookieにおける最大有効期限を7日に短縮

2.2

2019年5月

・JavaScriptを利用する場合のファーストパーティCookieにおける最大有効期限を1日に短縮

2.3

2019年9月

・LPのURLにパラメータやフラグメントが付与されているトラッカー判定を受けたサイトから流入した場合、最終インターアクションから7日でストレージデータ削除
・インタラクションがなければ、即時ストレージデータ削除

ITP規制が行われている理由

ITP規制が行われている理由

ITP規制が始まった背景としては、主にプライバシー保護の必要性と個人情報の保護を目指すWebブラウザベンダーの動向です。

ここからは、以下の具体的な4つの要因について詳しく解説します。

  1. プライバシー保護の重要性の高まり
  2. ブラウザベンダーの取り組み
  3. 規制の法的要件
  4. Cookieによるトラッキングの問題

プライバシー保護の重要性の高まり

ITP規制の実施は、プライバシー保護における重要性の高まりに起因しています。近年、個人情報の保護とプライバシーの尊重が社会的に重視されています。
従来は、ユーザーの行動や入力した情報などのデータが、ユーザー本人の知らないところで保存・共有され、自由に活用できる状態でした。

ただ、匿名性の高いオンラインにおいてもプライバシー侵害やデータ収集の懸念が高まり、消費者のプライバシー保護を考慮した規制が求められています。

ブラウザベンダーの取り組み

プライバシー保護の実現を目的に、AppleやMozillaなどの主要なWebブラウザベンダーは対策機能を実装しています。
主なWebブラウザベンダーと各社の取り組みは以下の通りです。

ベンダー名

ブラウザ名

取り組み

Apple

Safari

2017年にITPをスタートさせ、2020年3月から全面的にブロック

Mozilla

Firefox

2022年6月にプライバシー保護機能のデフォルト設定を発表し、クロスサイトトラッキングなどがブロックされる機能を実装

Google

Chrome

スケジュール延長をしながらも段階的に規制し、2025年の初頭には廃止すると発表

Microsoft

Edge

追跡防止機能によりプライバシー設定が可能

ITPは、上記の各ブラウザベンダーがプライバシー保護を目的に導入した機能の一つです。

規制の法的要件

関心の高まりとともに、世界各国・地域でプライバシー保護に関する以下などの法規制が施行されています。

  1. EU:GDPR(General Data Protection Regulation、EU一般データ保護規則)
  2. 米国のカリフォルニア州:CCPA(California Consumer Privacy Act、カリフォルニア州消費者プライバシー法)

また、日本でも2022年4月に改正個人情報保護法、2023年6月に電気通信事業法の一部が改定されました。

改正個人情報保護法と電気通信事業法の改定により、Cookieを含む情報を第三者に提供したり、個人情報との紐づけ・利用したりする場合は、本人の同意を得なければなりません。
企業やブラウザベンダーは、法的要求に対応する必要があり、対応しなければ罰則を科せられます。
2022年1月にフランスで、承諾を得ずにCookieにまつわるデータを利用したとし、制裁金の支払いが命じられています。

≫≫【2024年版】Cookie規制はいつから?マーケティング戦略の影響と対策方法を解説

Cookieによるトラッキングの問題

サードパーティーCookieを利用したトラッキングを、オンラインプライバシーの問題として指摘する声も少なくありません。
通常、Web広告を行う場合、ユーザーの興味関心や行動データであるサードパーティーCookieを利用し、ターゲティングしています。

しかし、パーソナライズされた広告により、監視や追跡されていると感じるユーザーが存在し、嫌う動きが出てきました。
Webブラウザベンダーは、ユーザーの不満を抑え、プライバシーを保護するためにCookieの制限を導入する必要性があります。

Cookie規制とは

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Cookie規制とは、Webブラウザや関連するプラットフォームによって、使用・トラッキングを制限する取り組みのことです。
Cookieには、以下2つの種類が存在します。

  1. ファーストパーティCookie:流入したサイトが生成するもの
  2. サードパーティCookie:流入したサイト以外が生成するもの

規制の対象はサードパーティCookieで、オンライン広告や分析およびトラッキング方法に影響が及びます。
ここからは、Cookieの種類やITP規制との関連性について詳しく解説します。

 ファーストパーティCookie

ファーストパーティCookieとは、アクセスしているWebサイトと同じドメインで発行されたCookieのことを指します。
特定のWebサイトに流入した際に、そのサイトから直接送信され、ユーザーのブラウザに保存されます。
主にユーザーの訪問履歴やサイトの利用状況を追跡するファーストパーティCookieは、パーソナライズや分析、広告ターゲティングなどに活用されます。

具体的には、カートに入れた特定の商品を記録し、次回の訪問時にその商品の表示が可能です。同じWebサイトを再訪問した際に、そのユーザーを識別するための重要な仕組みです。

 サードパーティCookie

サードパーティCookieとは、Webサイトの運営者以外の第三者が設定するもののことです。
流入したサイト以外から送信され、ユーザーのブラウザに保存されます。
主に広告ネットワークやアナリティクスツール、ソーシャルメディアプラットフォームなどが使用し、以下に活用されます。

  1. 行動の追跡や分析
  2. 広告のターゲティング
  3. クロスデバイスの追跡

クロスデバイスとは、同一人物の複数デバイス利用を認識・特定する技術や仕組みのことです。
例えば、Webサイトで靴の広告をクリックした後、別のサイトに流入した際に、同じ靴の広告が表示されるケースがあります。
サードパーティCookieは、Web上の行動や興味を追跡する重要な手段でしたが、現時点では規制の対象となっています。

≫≫ 3rd Party Cookieの使用制限とアドベリフィケーション

≫≫ 3rd Party Cookieレス時代を見越した広告配信の今

ITP規制とCookie規制の関連性

ITP規制とCookie規制は、オンラインプライバシー保護の観点から関連しています。
Cookie規制とは、Cookie機能を制限して追跡を制御するもののことです。

ITP規制はSafariのCookie使用制限です。
各規制により、オンライン広告やデジタルマーケティングで広く使用されてきたCookieに基づく追跡技術が影響を受けています。

ITP規制やCookie規制による業界への影響 

ITP規制やCookie規制による業界への影響 

ITP規制とCookie規制はオンライン広告やデジタルマーケティング、ウェブ解析などのデジタル業界に影響を与えます。
広告主やマーケターは、これらの規制に適切に対応するための新たな戦略を模索しなければなりません。ここからは、ITP規制やCookie規制による業界への以下の影響について解説します。

  1. リターゲティング広告が制限される
  2. コンバージョン計測精度が低下する

リターゲティング広告が制限される

一度Webサイトにアクセスしたユーザーに対し、別サイトで広告を配信する追跡型広告であるリターゲティング広告が制限されます。

リターゲティング広告は、各媒体でトラッキングコードをサイトに設置し、アドサーバーからサードパーティCookieを付与する仕組みが取られています。
他の広告手法と比べると、コンバージョン獲得に対する費用対効果が高く、これまで利用していた企業も少なくありませんでした。

ただ、ITP規制やCookie規制によりユーザー情報が収集できなければ、リターゲティング広告も制限されます。
また併せて以下も制限されます。

  1. DSPを利用したターゲティング配信
  2. パブリックDMPを活用した顧客の可視化
  3. DMPを介した他社とのデータ連携

コンバージョン計測精度が低下する

コンバージョン計測精度の低下も免れません。
通常、コンバージョンに至るまでには、一定数のユーザーが複数回Webサイトに訪問する過程が存在します。
ただ、Cookieの使用が規制されれば、最初の訪問から数日間経ってからのコンバージョンにおける計測精度が低下します。

また、企業がデジタルマーケティング活動を行う際は、過去蓄積したデータの紐づけによりユーザーを識別し、属性や行動から興味関心を推測していました。
とくに、ビュースルーコンバージョンやクロスデバイスの追跡が制限される場合、広告の効果測定が不正確になる可能性が低くありません。
ビュースルーコンバージョンとは、あるWebサイト・ページにアクセスした際に表示された広告がクリックされず、他ルートからコンバージョンに至った数のことです。

クロスデバイスとは、同一人物の複数デバイス利用を認識・特定する技術や仕組みのことです。
規制後は正確なデータの収集ができなくなり、自社の広告を閲覧したにも関わらず、他のルートやデバイスからコンバージョンに至れば、その過程を分析できません。

各広告媒体のITP規制対策

各広告媒体のITP規制対策

ITP規制により各広告媒体も対策をしています。ここからは、以下の媒体における対策について詳しく解説します。

  1. Google広告
  2. Yahoo!広告
  3. Meta広告
  4. アフィリエイト広告

Google広告

Google広告では以下の対策が必要です。

  • グローバルサイトタグとイベントスニペットの設置
  • GA4と広告の連携

グローバルサイトタグとイベントスニペットの設置により、ページにアクセスしたユーザーに対して、ファーストパーティCookieを付与できます。
グローバルサイトタグとは、広告やアナリティクスなどGoogleサービスのタグをまとめて設置できる便利なシステムです。
GA4と広告の連携を行えば、ファーストパーティCookieの情報をGA4に保存できます。

Yahoo!広告

Yahoo!広告では、以下3つのタグ設置で規制に対応できます。

  1. サイトジェネラルタグ・コンバージョン測定補完機能タグ
  2. 自動タグ設定
  3. local storageを利用したコンバージョン測定補完

コンバージョン測定補完機能タグとは、コンバージョン補完を目的としたcookieを作成するタグのことです。
サイトジェネラルタグは各トラッキングタグを総括的に管理し、実行させるためのタグです。自動タグ設定は、基本的にデフォルトで設定されていますが、反映されているかを確認ください。

また、cookieとは別データ保存領域である「local storage」を活用すれば、保存期間を7日まで延長できます。

Meta広告

iOS14のアップデート以降、MetaのFacebook・Instagram広告では、1ドメインで計測できるコンバージョンイベントが最大8件に制限されています。
対応するには、CAPIの設定と合算イベントの測定が必要です。

CAPI(コンバージョンAPI)とは、Cookieを使用せずにコンバージョンを計測する手法を指します。また、合算イベント設定をしなければ、最低限のイベント計測もできません。

≫≫ コンバージョンAPI(CAPI)とは?仕組みや導入のメリットをわかりやすく解説

アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、商品購入や会員登録、資料請求など、あらかじめ設定されたコンバージョンを達成した際に、料金が発生する成果報酬型広告のことです。
アフィリエイト広告でITP対応するには、各ASPが定める対処が必要です。

ただ、ASPごとに対応方法が異なるため、複数のASPを活用している場合はご注意ください。手間を減らしたい方は、一部のアフィリエイト代理店が提供している「ワンタグ」の活用がおすすめです。
ワンタグを活用すれば、1回の対応で全てのASPにおけるITP対応を完了させられます。

ITP規制対策と広告配信リスクも対策が必要

広告配信の際は、これまで解説したITP規制はもちろん、以下3大リスクへの対応も欠かせません。

  1. アドフラウド:無意味なクリックやインプレッションを発生させ、広告費を水増ししてだまし取る手法
  2. ビューアビリティ:ユーザーが確認できる範囲に広告が表示されていたかどうか
  3. ブランドセーフティ:違法サイトに広告が掲載されるなどの影響により、ユーザーからの広告主企業における印象悪化を防ぐ取り組み

上記の対応を怠れば、自社のブランドイメージ悪化や、広告配信をしても効果が得られない可能性があります。
3大リスクへの対策は、広告検証が可能なアドベリフィケーションツールの利用がおすすめです。
電通や博報堂などの大手広告代理店から中小企業まで、多くの企業に利用されているMomentumのHYTRA DASHBOARDを利用すると良いでしょう。

≫≫ アドベリフィケーションとは

≫≫ アドベリフィケーション対策ツールの導入メリットとデメリットを徹底解説

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ITP規制のまとめ

ITP規制のまとめ

本記事では、ITP・Cookie規制の概要や実施される理由、影響と対策について解説しました。

ITP規制とは、プライバシーや個人情報の保護を目的とした、Apple社が開発したWebブラウジング「Safari」におけるCookieに関する規制のことです。
対策をしなければ、広告やコンバージョン計測などに対する影響が発生します。

また、広告配信をする際はアドフラウドやビューアビリティ、ブランドセーフティへの対応も欠かせません。
広告配信の3大リスクへの対応は、専門知識がない方でも簡単に導入・運用できる包括的なリスク対策リスト提供ダッシュボード「HYTRA DASHBOARD」を利用すると良いでしょう。

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