いよいよ期限が迫っている3rd Party Cookieの利用制限に関して、さまざまな情報が飛び交っています。今回の記事では、それぞれの情報をまとめつつ、アップデートしてまいりたいと存じます。
なお、以前本ブログで「3rd Party Cookieの使用制限とアドベリフィケーション」にて、コンテキストターゲティング×アドベリフィケーションについて記載している記事についてもお読みいただけましたら幸いです。
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3rd Party Cookieの使用制限とアドベリフィケーション
方法とは?
ヒントを得る
1st Party Cookieデータを活用した広告配信とその他の広告配信方法が共存する理由
これまでのアドテクノロジーはターゲティングの精度を高めることで「枠から人へ」の流れができてきましたが、GDPRをはじめとしたプライバシー保護の観点から、「人から枠へ」の回帰、もしくはピンポイントではない「群」(同じような傾向を持つ、一定の塊)を使った「人から群へ」の移行がトレンドになりつつあると考えられます。後者はGoogleがFLoCとして開発しているプライバシーサンドボックスや、データクリーンルームが該当します。
この流れから、広告を出す方法としては下記二つの考え方と考えられます。
- 自社製品に適したプラットフォーマーがあり、かつ広告を扱っている場合は、そこへの広告出稿
- 代替テクノロジーを持つアドネットワークなどへの広告配信
1については、1st Party Cookieを活用することができる範囲においては従来の広告配信と同じ精度で広告が配信できます。2021年7月5日の日経MJ「IDを握れ 経済圏攻防」では楽天、Amazon、ZOZOなどが広告事業でID経済圏を握っているので、1st Party Cookie(自社内で取得したターゲティングデータ)をもつプラットフォーマーの力が相対的に強くなるのではないかと記載されております。
実際に、アメリカの小売りでは、1000以上のブランドを対象に実施した調査によると、回答者の88%が「Amazon広告を積極的に活用してECビジネスの成長を促進している」(2019年比で21ポイント増)と回答されたとのことです(ネットショップ担当者フォーラム:GoogleやFacebookから広告予算がシフトしているAmazon広告。多くの小売事業者が利用する5つの理由)。
ただし、広告配信面はそのプラットフォームの中に限られるので、出稿ボリュームは小さくなる可能性があります。また、CPCも高くなる可能性もあります。
このように考えると、「2.代替テクノロジーを持つアドネットワークなどへの広告配信」での広告出稿も必要になると考えられます。従来と比較して1st Party Cookieデータを広告配信に使えるプラットフォーマーが力を持ってくることはほぼ確実な流れと考えられますが、それでもこれまでと同じ3rd Party Cookieを利用してカバーしていた広告と同等のパフォーマンスを出すことは難しいと思われます。その分、3rd Party Cookieに代わるテクノロジーを持つアドネットワークへの広告出稿を行うことが必要になります。では、3rd Party Cookieに代わるテクノロジーとはなんでしょうか?
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統合IDを使用した広告配信についてのアップデート
3rd Party Cookieが使えなくなることについては、統合IDを使用することでDMPをハブにしたデータ連携も進むことが予想されます。
2021年6月30日にはDMP企業の株式会社インティメート・マージャーが提供する共通IDソリューション「IM Universal Identifier」をユナイテッドマーケティングテクノロジー株式会社が提供するSSP「adstir」とDSP「Bypass」に連携することを発表しました。
上記のような、Cookieを使用した広告とABテストできるプロダクトへのテスト配信を行ったり、それと併せて企業のコンプライアンス違反が問われそうな広告面に対して出稿されてしまっていないか、といった調査を今のうちに行うことをお勧めしたいと考えております。
動画広告プラットフォームTeadsが用意しているCookieレスソリューション
例えば、動画広告プラットフォームのTeadsが2つのソリューションを出しており、かつそのソリューションは既に実行フェーズに入ってます。Teads Cookieless Suiteという名前のソリューションで、方法は2つあります。
- コンテキストターゲティング
- オーディエンスターゲティング
名前だけ聞くと同じようなサービスが既にあるではないか、ということになりそうですが、それぞれのターゲティング方法がTeads独自のものとなっており、ブランド認知効果ではCookieを活用した広告よりも効果が出ている例もあるとのことです。
今後の個人情報保護とターゲティング広告を配信する際、注意すべき点
以前のこちらの記事で指摘したように、コンテキストターゲティングやオーディエンスターゲティングを使う場合、アドベリフィケーションの観点から、配信面の品質についても考える必要が出てきます。
今回のインターネット広告における大転換はそもそもプライバシーの保護という観点から出てきたものになります。プライバシー保護にそぐわない広告配信をすることが難しくなるうえに、違反した場合はコンプライアンス違反という観点からも厳しい目が注がれる可能性があります。
これまで広告主や広告代理店が逮捕されるなどの問題になった際は、薬機法違反や景表法違反などが代表的でしたが、数年後はプライバシー情報の不適切利用などの理由で摘発される可能性もあるかもしれません。
コンプライアンス違反とブランドリスク毀損については、2020年12月にMomentum株式会社がTMIプライバシーアンドセキュリティー様と行った共催ウェビナーでも取り扱っております。その際のウェビナーの内容については下記のリンクを参照してください。
コンプライアンス視点からみたインターネット広告におけるブランドリスクについて、
弁護士とアドベリベンダーが徹底解説!
また、下記から当日のアーカイブ動画もご覧いただけますので、ご興味をお持ちの方は是非ご確認ください。
Momentumに対してお問い合わせがございましたら、
参考
日経MJ:IDを握れ、ネット広告で経済圏攻防 広がる脱クッキー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC3043R0Q1A630C2000000/
ネットショップ担当者フォーラム:GoogleやFacebookから広告予算がシフトしているAmazon広告。多くの小売事業者が利用する5つの理由https://netshop.impress.co.jp/node/8840
アドタイ:フランス発のテクノロジー企業Teadsが提案するクッキー代替ソリューション
https://www.advertimes.com/20210707/article356088/
プレスリリース:インティメート・マージャー、ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ株式会社とポストCookie時代に向けたターゲティング技術の提供を開始
https://www.value-press.com/pressrelease/274533