【海賊版サイトの潰し方】漫画海賊版サイト「漫画BANK」に集英社など4社が法的措置へ

恩田基輝
2021-11-15
目次

 漫画海賊版サイト「漫画BANK(すでに閉鎖済)」への刑事告訴を目的として、集英社などの4社がアメリカの裁判所に申し立てを行っていました。裁判所はこれを認め、Googleなどに対して「漫画BANK」の運営社情報を公開するよう開示命令を出しています。漫画BANKは「アクセス数が月間およそ8100万と漫画村の8割ほど」あったといいます。漫画BANKや漫画村などの海賊版サイトがコロナ禍で自宅時間が増えたことによってアクセス数を伸ばしている、とも指摘されています。

 では、このような海賊版サイトはどのような仕組みで動いており、誰が得しているのでしょうか?また、どうすればこのようなサイトを撲滅できるのでしょうか。

結局、漫画村の何が問題だったのか?海賊版サイトの問題点と対処方法について

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海賊版サイトの収益構造とは?

 取り上げている記事では、「アクセス数や滞在時間を基に試算した被害額は、ことし1月から先月までで7827億円に上る」とのことです。とても大きい数字で看過できるものではありませんが、これはそのまま海賊版サイト運営社(もしくは個人)が稼いだ利益ではありません。そもそも海賊版サイトはどのような収益構造になっているのでしょうか。

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 漫画BANKを含む海賊版サイトは、著作権を侵害して本来有料のコンテンツ(漫画、映画、動画、音楽など)を無料で掲載し、PVを稼いでいます。コンテンツを閲覧するために、ユーザーは広告の閲覧が強制され、そのタイミングで広告費が発生しています。また、この段階でいくつかのリーチサイト(海賊版サイトへのリンクサイト)を経由することが多く、そこでも広告を経由することが必須になっている場合もあります。それらの広告費は全て広告を配信している広告主が支払っており、その広告費が海賊版サイトの収益の一つとなっています。

 また、あらゆるアドフラウドも検知されています。アドフラウドとは、実際のユーザーではないBotなどによって広告が表示、クリックさせられていたりする「広告詐欺」のことです。広告主は、実際ユーザーが見ていないもかかわらず、広告費が発生させられてしまいます。アドフラウドにはさまざまな手法があり、ユーザーに視認することができない大きさや場所に広告が表示されられていることもあったり、一つの広告の枠の裏側で複数の広告が呼び出されていたりすることもあります。つまり、実際のユーザーが見ているよりも多く、広告のインプレッションがカウントされており、その分広告費が海賊版サイトの収益になっているのです。

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海賊版サイトの潰し方

 では、海賊版サイトを潰すにはどうしたら良いでしょうか。端的に言えば、上記の仕組みで発生する広告費を断つことが海賊版サイトの弊社につながります。では広告はどうしたら発生しなくなるのでしょうか。

1.閲覧しない

 第一はやはり、閲覧しないことです。極端に言うと、PV数がゼロになれば広告費用はゼロになり、サイトを維持するための費用を下回るため、収益目的でサイトを運営する意味がなくなります。サイト運営社が、「この世の全てのコンテンツは無料であらゆる人に開かれているべきだ」という極端な思想を持っていない限り、この手法は有効です(そういうサイトは広告を付けないと思いますが)。

 とはいえ、これはサイトを閲覧する個人の問題であり、現状の法制度で強制することはできません(強制したところでゼロになると思えません)。「海賊版サイトでコンテンツに触れることは、コンテンツの権利保持者だけではなく、長期的にみてユーザーにとっても損である。なぜなら安定したコンテンツを生み出す体制がなくなるから、買ったほうが良い」という正しい啓蒙を行なったとしても、全ての人に行き渡り、理解し行動に移すには時間がかかりそうです(そうなるといいなとは筆者も思っています)。また、このように「ユーザーのリテラシー」に頼るよりは、「仕組み」で解決したほうが解決への道が短そうです。

2.法に頼る

 初めに取り上げた記事はこちらの方法になります。そもそも著作権侵害を行なっているサイトなので、法的処置を行い、サイト運営の停止させるなどの対応が当然だと思われます。「仕組みで解決」の代表的な手段とも言えるでしょう。

 ただ、この方法にもまだ課題があります。法律の専門家ではないので詳しくは書けませんが、現在の法制度は「国」という単位で作られています。インターネット上での著作権侵害のようなグローバルな法律違反に関しては、単純に日本の司法制度内で全て解決できるものではありません。諸外国と協力しつつ、グローバル企業への情報提供などを依頼していく必要があります(上記の件も、アメリカの裁判所がGoogleに開示命令を出しています)。

 また、海賊版サイトは日々誕生しています。その一つひとつに煩雑な手続きを要すると、そのようなコスト(多くは申し立てる側が負担する)が嵩んでしまい、積極的に海賊版サイトを潰していくことが難しくなってしまいます。この辺りも含め、インターネット自体の法制度の整備がさらに必要となってくるでしょう。

 

 関連記事はこちら:結局、漫画村の何が問題だったのか?「海賊版サイトに対する国際執行手続き強化に関する報告会」が開催

 

3.広告を出さない

 これはMomentumが取り組んでいる領域の話になりますが、収益の元となる広告がなくなれば、必然的に収益も無くなります。では、広告を出さないためにはどうしたら良いのでしょうか。

 インターネット広告は複雑な仕組みで動いているのですが、ごく簡単に解説します。

▼インターネット広告の中でも代表的なプログラマティック広告の仕組み

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 関わっている企業群は左から、広告主、広告代理店(挟まない場合もあります)、DSP・アドネットワーク(ADNW)・SSPといういわゆるアドプラットフォーム、メディア、ユーザーです。広告取引の仕組みとしては、ユーザーがメディアにアクセスした際、アドプラットフォームで広告枠の購買の入札競争が行われます。広告主や代理店があらかじめ設定していた広告の購買条件の中で、もっとも条件に合う広告が表示され、ユーザーに閲覧されます。もちろんこの間は1秒にも満たないスピードで取引されるため、全てオートマチック化されています。

 このようなシステムの隙間に、海賊版サイトのような著作権侵害サイトが存在します。以前話題になった漫画村事件の時も、大手のプラットフォームから名の知れた広告主や行政の広告が表示されており、問題になってしまいました。そのようなことが起きた原因は、広告取引が基本的に全てがシステマチックに動いており、膨大に取引される広告の表示場所を人の目で管理することが物理的に難しくなってしまったからです。

 とはいえ、インターネット広告業界としても対策が進んでおり、さまざまな企業がアドベリフィケーションの施策を実施しています。アドプラットフォームは海賊版サイトには広告が表示されないようなテクノロジーを開発したり、業界としても海賊版サイトを含めた、広告配信除外推奨リストを配布するなどしています。海賊版サイトに広告を表示させないためには、各ステークホルダーが、それぞれの措置を取る必要があります。例えば、アドプラットフォームは(例えどれだけ広告枠の在庫が多いにしても)そのような違法サイトとは接続を切ること、広告主や代理店は、広告の配信対象から除外設定を行うことなどです。ある程度の工数やコストはかかるかも知れませんが、広告主にとっては、ブランド毀損の防止や、無駄な広告費の削減など、海賊版サイト撲滅には明確なメリットがあります。広告取引の仕組みから解決することができれば、海賊版サイトを撲滅できる日も遠くないでしょう。

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まとめ

 方法を3つ挙げました。我々Momentumが手伝えるのは③だけですが、健全なインターネット広告業界を実現していくためには、どれかを行えば良いというわけではなく、全てを行う必要があると思っています。Momentumにできることなら全て対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

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