近年ではインターネット広告市場が成長するのと同じく、不適切な広告運用により、広告予算を知らぬうちに浪費している事例も少なくありません。
「アドフラウド(広告詐欺)」を放置していれば、成果につながらないクリックや、人には視認できないエリアやサイズでの出稿など、広告の運用効果を適切に把握できない事態につながります。
そのため、アドフラウドとはなにか、広告詐欺が発生する仕組みを含めて対策方法を把握することが大切です。
この記事では、アドフラウドとはなにか、代表的な7つの種類や、アドフラウドを根本的に解決できた事例についてご紹介します。
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アドフラウドとは?
アドフラウドとは、インターネット広告で横行している不正広告・広告詐欺を指します。わかりやすく事例を紹介すると、人には視認できないエリアに表示して広告料金をせしめたり、botなどを利用して不正にクリックを行なったりして、広告費用を水増し・不正請求されるケースが一般的です。
ここでは、「アドフラウドの意味」「発生件数の事例」「アドフラウド対策を放置したデメリット」について解説します。
≫≫ アドフラウドとは?対策方法からおすすめ対策ツール5選を徹底比較
≫≫ 不正クリックはなぜ起こる?その原因とアドフラウド対策ができるツールを紹介
- アドフラウドの意味
- アドフラウドの発生件数は世界ワースト2位
- アドフラウドが発生した時のデメリット
アドフラウドの意味
アドフラウドとは、文字通り「ad(広告)」「fraud(詐欺)」を組み合わせた言葉です。日本語では「不正広告・広告詐欺」を表します。代表的な手段としては、「人には視認できないエリアへ広告を表示」「botやツールで広告をクリック」「表示回数を水増し」などがあげられます。
いずれも、アドフラウドは広告費を不正に騙し取られてしまうだけでなく、広告の効果検証を適切に行えなくなってしまうのが問題点です。なかには不適切なサイトへ知らぬうちに広告を出稿してしまう事例もあり、ブランド毀損につながってしまうリスクもあります。
≫≫ リスティング広告のリスクとは?リスティング広告のアドフラウドって誰がなんでやっているの?
アドフラウドの発生件数は世界ワースト2位
ある調査によると、日本におけるアドフラウドの発生件数は「世界ワースト2位」とされています。アドフラウドの事例や対策を把握していない企業が少なくない中、調査対象国では最低レベルの水準で、世界的に見ても対策は急務です。
LINEヤフー株式会社でもアドフラウド対策としてガイドラインを厳格化しており、大手ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の改定後は5,900件もの広告配信が停止されたと言います。インターネット広告市場の発展とともにアドフラウドの被害額も増大しており、広告運用担当や代理店任せの企業においてもリスク対策が求められています。
参照元:LINEヤフー株式会社「ガイドラインの厳格化により約5,900件の広告配信を停止」
アドフラウドが発生した時のデメリット
アドフラウド対策の認識が欠けたまま広告運用をしていると、「広告予算がムダに食いつぶされてしまう」「不適切なサイトへ出稿してしまう」「広告主に多大な悪影響を与えてしまう」などのトラブルが発生します。
国内被害額は年間1,335億円を超すともされており、国内で広告運用をしている企業がアドフラウドの被害に遭っている可能性は高いです。
参照元:日本経済新聞「広告、閲覧水増し詐欺拡大 国内被害は昨年1300億円」
また、近年では海賊版ビューサイト「漫画村」に広告を配信していた広告主へクレームが多発するなどの事例も大きな話題となりました。しかし、配信元はそのようなブランド毀損につながるサイトへ出稿している認識がなく、不正に広告を悪用された「アドフラウド」被害に遭っていた事例も少なくありません。
アドフラウドが発生した時のデメリットは非常に大きいため、被害を素早く把握することが大切です。アドフラウドが起きているかを見抜くチェック方法として、以下のポイントを参考にしてください。
- 最近クリックやCVが急増している
- コンバージョン率(CVR)やクリック単価(CPC)が平均より突出した広告ページがある
異常をスピーディに発見しアドフラウドを対策するためにも、広告代理店任せだけではなく、自社でもデータを比較・把握する対策が重要です。
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アドフラウドの7つの種類
アドフラウドによる広告詐欺被害を防ぐためにも、さまざまな対策の取り組みが求められています。対策を講じるには、アドフラウドにはどのような手口があるのか、それぞれの事例を交えて手法を把握することが大切です。
ここでは、代表的なアドフラウドの手口を7種類ご紹介します。
とはいえ、アドフラウドの手口は年々増加傾向にあり、根本的な解決をしなければ広告の費用対効果を最大限に引き出すのは難しいのも事実です。必要に応じて、アドフラウド対策ができるツールやセーフリスト(ホワイトリスト)などを利用するのがベストです。
- 過度な広告領域(Ad Density)
- 不正な広告の挿入(Ad Injection)
- 過度な自動リロードされる広告(Auto Refresh)
- 隠し広告(Hidden Ads)
- 不正なCookieの上書き(Cookie stuffing)
- トラフィックエクスチェンジ(Sourced Traffic)
- 不正プログラムの感染による乗っ取り(Hijacked Device)
過度な広告領域(Ad Density)
アドフラウドの手口に、「過度な広告領域(Ad Density)」があげられます。過度な広告領域とは、検索スパムと組み合わせて広告のみを掲載したページへ誘導するアドフラウドの手口です。
広告しか表示されていないページを表示することで、表示回数を稼ぐだけでなく、過密表示によって誤クリックをも招きます。検索スパムを活用して一見普通のサイトに誘導するため、ユーザーも気づきにくいのが問題点です。
ユーザー視点では広告だらけのページで不快感が強まり、表示されている広告の内容を理解する前にブラウザバックするケースがほとんどでしょう。そのため、広告主にとっては「成果につながらない広告費の支出」などのデメリットがあげられます。
不正な広告の挿入(Ad Injection)
アドフラウドの手口に、「不正な広告の挿入(Ad Injection)」があげられます。不正な広告の挿入とは、Webサイトに掲載されない不正広告へ差し替えたり、無断で広告を挿入する手口です。
広告主とプラットフォーマーのどちらも被害に遭う可能性があり、正規で表示しているエリアをほかの広告へ不正にすげ替えられてしまいます。「このポータルサイトなら大丈夫だろう」と感じるユーザー心理を悪用し、詐欺被害などの多大なトラブルを招いてしまう点は大きなリスクです。
過度な自動リロードされる広告(Auto Refresh)
アドフラウドの手口に、「自動でリロードされる広告(Auto Refresh)」があげられます。自動リロードとは、文字通りページや広告枠を更新して広告の表示回数を水増しする手口です。
何度も広告表示を行うためサーバーに負荷がかかってしまうほか、多くの広告を表示するため、広告費用も増大してしまいます。一方で、一切の成果につながりません。アドフラウドのなかでも、サーバーへの負荷や広告運用費の水増し請求など、さまざまな被害を受けてしまいます。
隠し広告(Hidden Ads)
アドフラウドの手口に、「隠し広告(Hidden Ads)」があげられます。隠し広告とは、ユーザーには視認できない場所に広告を挿入する手口です。ユーザーには見えない形で広告を配信するため、1ページでの配信数を水増しされてしまいます。
ユーザーには一切リーチできないため広告の運用効果を得られないほか、広告の効果検証がでたらめになってしまうのもデメリットです。ページを見るだけでは状態を把握しづらく、広告主による目視のチェックも突破されやすくなっています。
不正なCookieの上書き(Cookie stuffing)
アドフラウドの手口に、「不正なCookieの上書き(Cookie stuffing)」があげられます。不正なCookieの上書きによって、あたかも「不正サイトを経由して広告がクリックされた or 成果をあげた」と認識させる手口です。
ユーザーのブラウザに保存されているCookieを上書きするため把握しづらく、高単価なリターゲティング広告などで被害に遭いやすくなっています。プラットフォーマー側が対処しなければ、本来支払われるべきだった広告費がかすめ取られるような形になってしまいます。
トラフィックエクスチェンジ(Sourced Traffic)
アドフラウドの手口に、「トラフィックエクスチェンジ(Sourced Traffic)」があげられます。サイトへのトラフィック自体を不正に獲得する手法で、メディア側が広告主の基準を満たせない時、トラフィック数を水増しして広告を掲載できるようにします。
トラフィックエクスチェンジを利用するメディアは不誠実なパートナーが多いほか、botを悪用してインプレッション数を水増しする事例も少なくありません。そのため、不適切なメディアを広告掲載先に選んでしまうリスクだけでなく、成果につながらない広告費を不正請求されるデメリットも存在します。
不正プログラムの感染による乗っ取り(Hijacked Device)
アドフラウドの手口に、「不正プログラムの感染による乗っ取り(Hijacked Device)」があげられます。アドフラウドのなかでも特に悪質で、ユーザー側の端末やブラウザ自体を不正に乗っ取る手口により、アクセス自体が不正なものか判断しづらくなっています。
一方で、自社サイトの広告を強制的に表示させるなどの手法により、平均的なサイトよりもCVRやCPCが高まる傾向にあります。広告主側では対応が難しく、不適切なサイトや不誠実なパートナーへの出稿を差し控えるほかありません。
アドフラウド対策ができる3つの方法
ここでは、アドフラウドに対してどんな対策ができ、どのような効果を得られるのか見ていきましょう。ご自身ですぐに実施できる対策のほか、アドフラウド対策ツールを提供している企業も存在します。
次の5つの対策をそれぞれ紹介しますので、自社の課題やリソースにあった対策を選択してみてください。
- PMP(プライベートマーケットプレイス)の活用
- セーフリスト(ホワイトリスト)とブロックリスト(ブラックリスト)の作成
- アドベリフィケーション対策ツールの導入
PMP(プライベートマーケットプレイス)の活用
PMP(プライベート・マーケット・プレイス)とは、媒体社と広告主を限定した、クローズドの広告取引市場のことです。PMPを活用すれば、コンテンツの質が保証された優良媒体のみを配信できます。オークション形式のDSPによる広告配信では「自社広告が掲載される媒体の質を事前に把握できない」というリスクがありがちです。
一方、PMPなら、配信先の質が不透明というリスクを回避できます。ただし、本当にアドフラウド率が低いかどうか、もしくはアドフラウドと思われるトラフィックは課金の対象から外してもらえるのか。事前にPMPの担当者に詳しくヒアリングを行い、比較検討することが大切です。
また、PMPはDSPよりも広告費用が割高になる傾向があります。さらに広告主側も審査をクリアする必要がある点にも注意が必要です。
セーフリスト(ホワイトリスト)とブロックリスト(ブラックリスト)の作成
これは、自社の広告がどのようなサイトに掲載されているか事前に把握する方法です。
ブランド毀損につながるような不適切なサイトに配信されてから気づくようでは、取り返しがつきません。そこで優良性や安全性が確認されたサイトのみを集めた「セーフリスト」を自社で作成してアドフラウド対策に活かしましょう。
「セーフリスト」は「特定の配信先のみ許可する」運用方法です。配信先はリストで設定している範囲内のみと、限定的な配信方法となります。
ただし配信先の設定は「ページURL」で行うため、コンテンツまでは判断できません。実際にブランドセーフティに影響する「コンテンツ」の良し悪しは「セーフリスト」だけでは不可能です。そこで特定のワードが含まれるページを除外するなど、コンテンツ向けのリスク対策も合わせて必要になります。
また、ユーザーの行動をモニタリングし、異常行動が見られるユーザーのブロックリストの作成も有効です。インターネット広告に、Webサイト訪問者の情報や行動を追跡できるアクセス解析用のタグを設置しましょう。
ユーザーの挙動をリアルタイムでモニタリングできるようになるので、不審な動きを見つけやすくなります。
次に定期的に解析データを分析し、異常行動が見られるユーザーのリストを作成してください。リストに従い、広告の非表示あるいはダミー広告の表示といった対処を実施することで、アドフラウドを防止できます。
たとえばGoogle広告のケースでは、不審なユーザーをIPアドレス単位でブロックリスト化し、配信除外設定することができます。
アドベリフィケーション対策ツールの導入
アドベリフィケーションツールを提供しているベンダーのツールを利用する手法になります。ディスプレイ面であればIntegral Ad Science、DoubleVerify、Moat、Momentum、アプリ面であればSpiderLabs、リスティングであればCHEQ、X-log、PPC Protect、シエンプレなどが有名です。
リストを提供してもらえるのか、pre-bidかpost-bidか手法の違い、また導入にかかる費用が固定なのか従量課金なのか、WebのみでなくアプリやYouTubeも対応可能なのか?対応範囲も各社異なるため、まずは自社の状況を把握したうえで選定することをおすすめします。
また自社でアドベリフィケーション対策ツールを使う以外にも、アドフラウド対策を講じているDSP事業者を選定することも検討しましょう。DSP事業者がアドフラウド対策をしていれば、無駄な広告枠の買い付けを防げるからです。
≫≫ アドベリフィケーションツールのおすすめベンダー5選を徹底比較!仕組みから費用まで徹底解説
≫≫ アドベリフィケーションツールの選び方の3つのポイントを徹底解説!
アドフラウドを根本的に解決した対策事例
アドフラウドのような広告詐欺を発生させる手口は年々増えているため、人力で対応するのは難しいです。そこで、近年ではアドフラウド対策ツールを利用する事例が増えつつあります。
とはいえ、アドフラウド対策ツールを利用しても、あくまで不正クリック等を検知してから対策する仕組みのため、根本的な解決とはすこし異なります。
そこでおすすめなのが、アドフラウドが発生しない場所に広告を出稿する手法です。アドフラウド対策も行えるほか、ブランド毀損などのトラブルに繋がりにくいなどさまざまなメリットが得られます。
「ブロックリスト(ブラックリスト)」であれば、危険なサイトを回避して出稿しやすくなるため、それらに対応したアドベリフィケーションツールを導入するのがおすすめです。
たとえば、株式会社セプテーニ様では、インターネットを活用した包括的なマーケティング支援サービスを提供しています。クライアントから寄せられるアドフラウドやブランドセーフティの問い合わせや相談が急増した影響で、それぞれの対応に工数やコストがかかると頭を悩ませていたとのこと。
一定のクオリティを担保したままサポートを継続する手法を検討しているうちに、「HYTRA DASHBOARD」をご導入いただきました。
「ブロックリスト(ブラックリスト)」機能によって不適切なサイトを事前にフィルタリングし、広告出稿先を自動的に選別しています。すべてのクライアント企業へ一定の品質を提供できるようになりました。
また、シンプルで使いやすい面も高く評価していただき、自社システムとマージすることで高品質なリストを継続利用しやすく、メディア選別などの工数も大幅に削減できたと嬉しい声が届いています。
「アドフラウド」が起きるかどうかを不安視するのではなく、そもそも安全性の高いメディアに限って広告を出稿することで、根本的なトラブルの解決やサイト管理の工数削減などさまざまなメリットを得られると言えます。
≫≫【インタビュー:株式会社セプテーニ】クライアント企業の課題も一緒に解決 ー リスト提供型サービスを使うメリットとは
アドフラウドまとめ
アドフラウドとは、広告をツールやbotでクリックしたり、不正に表示したりして、効果がまったく望めないまま費用を水増し請求されてしまう手口を指します。ほかにも、ユーザーへ強制的にリンクをクリックさせたり、不適切なサイトに広告を悪用されたりと、企業のブランドに傷をつけてしまう事例も少なくありません。
そのため、代理店へ任せきりになるのではなく、広告を出稿している企業側もアドフラウドの実情と対策を把握するのがベストです。
Momentumでは、アドフラウドの根本的な解決策として、事前に不適切なメディアをブロックできる「ブロックリスト(ブラックリスト)」が提供されています。アドフラウド被害に遭うリスクを減らせるのがメリットです。
「もしかしたら、自社も知らないうちにアドフラウドの被害に遭っているのでは」と不安になられた方は、ぜひ一度Momentumまでお気軽にご相談ください。
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