アフィリエイト広告は費用をかけづらいスタートアップ企業でも利用しやすく、メディアの収益源となることから広がりをみせています。一方で、消費者を誤導する虚偽・誇大表示を含むものが散見され問題視されてきました。
そこで不当表示防止に向け、消費者庁が設置・開催したのが「アフィリエイト広告等に関する検討会」です。本記事では、アフィリエイト広告業界の現状、規制強化の検討が実施された理由や最新の規制内容を解説します。消費者庁が広告主に求めることとして、改正された景品表示法上の管理指針もご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
方法とは?
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アフィリエイト広告業界の現状
アフィリエイト広告では、広告をクリックしたユーザーによってコンバージョンが発生した際に広告費が発生します。コンバージョンとは広告主が目標に設定した行動のことで、具体的には「購入」「資料請求」「会員登録」などのことです。
拡散力のあるInstagram、Twitterを活用したSNS型や、YouTubeを活用した動画型も伸びています。広告費を抑えたい広告主にとって、アフィリエイトは純広告よりも費用対効果が高いため利用したいネット広告の1つでしょう。
しかし多少無理をしてでも、コンバージョンを発生させて儲けたいと考えるアフィリエイターも多くいます。そこで問題視されているのが、薬機法など関連する法律に抵触する表現などが使われている不正なアフィリエイトです。ここでは、アフィリエイト広告業界の現状について見ていきましょう。
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アフィリエイト広告配信に携わる関係者
アフィリエイト広告配信には、次の図のとおり主に「広告主(販売事業者)」「ASP」「アフィリエイター」の3つが関わっています。
参照:消費者庁|「アフィリエイト広告の取引実態(実態調査)」
ASPとはアフィリエイト・サービス・プロバイダーのことで、広告主とアフィリエイターをマッチングする役割を果たしています。
アフィリエイターとは、実際に成果報酬を目的にアフィリエイト広告を掲載する者のことです。アフィリエイトサイトを運営する個人のほか、大手広告メディアを運営する企業も含まれています。
アフィリエイト広告の市場規模は拡大中
アフィリエイト広告の意義は、内容が消費者目線で自由に意見・情報が共有されることや事業主が手軽に利用できる点です。実際に矢野経済研究所の調査によると、市場規模は年々拡大しており今後もアフィリエイト市場は伸びると予想されています。
参照:矢野経済研究所|「2022 アフィリエイト市場の動向と展望」
コロナ禍が長期化していることから、旅行業やエステなど店舗来店型などの分野の業績は厳しい状況です。一方で金融やオンライン特化型サービスなどは伸びています。中でも楽天などのECモールに店舗をもち、自社サイトでもアフィリエイト広告を掲載する事業者の業績が伸びているのがポイントです。
不当表示防止に向け消費者庁が取り組みを強化
報酬目的のアフィリエイターが広告を作成・掲載するアフィリエイト広告では、不当表示が起きやすいことが懸念されています。広告主のチェックが行き届きにくいことも問題視されており、消費者トラブルが相次いだことから消費者庁が取り組み強化に乗り出しました。不当表示の例として関連法に違反しているもの、偽の口コミを掲載したものや有名人の写真を無断利用したものなどが挙げられます。
そこで消費者庁によって設置されたのが「アフィリエイト広告等に関する検討会」です(2021年6月10日〜2022年1月28日)。2022年2月15日には、「報告書」が公表されています。さらに2022年6月29日には、改正「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(以下「指針」)が施行されました。後述しますが、この指針には消費者庁が広告主に求めることが記載されていますので目を通すようにしましょう。
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アフィリエイト広告の規制強化が検討された3つの理由
ここではアフィリエイト広告の規制強化が検討された理由について、次のとおりご紹介します。
- 不当表示(虚偽・誇大広告)が起きやすい
- 広告主の不当表示への責任意識が薄い
- 消費者がアフィリエイト広告と判別できないケースが多い
では、それぞれの理由について見ていきましょう。
1. 不当表示(虚偽・誇大広告)が起きやすい
アフィリエイト広告は、ランキング形式や口コミ・体験談を装うなどして不当表示(虚偽・誇大広告)が起きやすい状況にあります。成功報酬という報酬形態に加え、アフィリエイターが作成する広告への監督が十分に機能しない構造だからです。問題のあるアフィリエイト広告の代表例として、次のような表示・表現が挙げられます。
- 定期購入の販売・解除条件に関連した虚偽表示
- 商品の効果に関連した虚偽表示
- 消費者が抱える身体的コンプレックスをあおる過激な表現
- アフィリエイター自らの体験を装った記事風の表現
なお問題のあるアフィリエイト広告を規制の対象とする主な法律には、次のようなものがあります。
- 景品表示法(以下、景表法)
- 健康増進法や医薬品医療機器等法(以下、薬機法)
- 特定商取引法
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2. 広告主の不当表示への責任意識が薄い
虚偽・誇大広告であったとしても、「アフィリエイターが勝手に作成したもの」として広告主の逃げ口としている実態があります。またどの事業者の責任で作成したものか不明で、連絡先が明記されていない、あるいは連絡がつかないケースが多く見られるのです。
このように、広告主の不当表示への責任意識が薄いことが問題視されています。悪質な広告主の中には、アフィリエイト広告の誘導先であるLP(ランディングページ)にも不当表示が目立つケースが報告されています。アフィリエイト広告等に関する検討会の「報告書」では、とくに「金融関係、健康食品関係、美容関係」の分野で悪質な広告主が多いと指摘しました。
3. 消費者がアフィリエイト広告と判別できないケースが多い
アフィリエイト広告の問題点として、消費者がアフィリエイト広告かどうか見た目で判別できない点も懸念されています。一部のアフィリエイト広告では、リンク先で商品購入などをすると代金の一部が報酬として支払われることが明示されていることもありますが、一般的ではありません。なお消費者庁が行った実態調査の結果によると、広告だと明示してあるほうがいいと思う消費者は以下のとおり86.8%にのぼりました。
出典:消費者庁|「アフィリエイト広告の取引実態(実態調査)」
消費者庁が広告主に求めること
ここでは、アフィリエイト広告等に関する検討会の「報告書」や改正された「指針」に基づき、消費者庁が広告主に求めることをご紹介します。
アフィリエイト広告に対する景表法の法解釈が示され、広告の表示内容についての責任主体は広告主に求めると明示されました。つまり、原則としてASPやアフィリエイターは景表法による規制の対象外とされたわけです。
アフィリエイト広告は消費者や事業者の双方にとって重要な広告手法であり、その仕組み自体には問題がありません。そのため、広告主のみが景表法による規制対象となることを把握しておきましょう。ただし、広告主と連携し一体となって事業を行っているケースでは、ASPやアフィリエイターであっても景表法による規制が適用されます。悪質なケースでは、特定商取引法とも連携して広告業務禁止命令を行うことも視野にいれ、適切かつ有効な法執行が行われる見込みです。また規制対象を限定しない健康増進法第65条、薬機法第66条を活用して、健康食品や化粧品の虚偽・誇大表示の執行が強化されます。さらに場合によっては、警察とも連携しながら消費者安全法に基いて消費者への注意喚起をしていくことも明示されました。
新たに盛り込まれた広告主が講ずべき措置
景表法第26条に関連する「指針」の改正にあたって、新たに盛り込まれた広告主に求められる措置は次のとおりです。
- アフィリエイト広告も当該指針の対象に含まれることを明確化
- 「不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応の例」を追加
- 消費者が理解できるよう「広告」を行う事業者の表示である旨をアフィリエイト広告に明示することが望ましいことを追加
「指針」では「事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の具体事例(別添)」があり、広告主向けに措置の内容が詳しく示されています。しかし不当表示を防止するために必要かつ適切であれば、全く同じ措置でなくても問題ありません。
こちらの記事で実際に詳しく読んで解説しています!
以下では、重要と思われる部分を補足して広告主に求められる措置をご紹介します。
- アフィリエイターに対する、景品表示法の考え方の周知・啓発
- 違反したアフィリエイターに対する報酬の支払い停止・契約の解除などを含むアフィリエイターに対する法令遵守の方針等の明確化
- 委託先を通じての確認や、委託先の監視などを含むアフィリエイト広告の表示等についての情報確認
- アフィリエイターに対するアフィリエイト広告の表示などに関する情報の共有、すべての情報を事前共有できない場合はアフィリエイターからの相談受付・他の事業者を通じての共有などを行う
- アフィリエイターへの周知、法令に関する講習の実施などを含むアフィリエイト広告の表示に関する管理担当者の指定
- 自ら資料を保管、またはアフィリエイターや他の事業者に保管させるなどの削除されたアフィリエイト広告の内容を事後的に確認するための措置
- 削除・修正体制の構築、違反したアフィリエイターに対する処分、一般消費者向け相談窓口の設置など不当表示が判明した場合の迅速・適切な対応
- アフィリエイト広告であることの明示
危険なメディアにネット広告を出稿するリスクを回避する方法
アフィリエイト広告の規制が強化されたことで、消費者庁が広告主に求める責任や措置の内容も明確化されました。ネット広告を出稿している広告主が配慮すべき点は、消費者庁の指針だけではありません。DSPなどを使って配信した広告が、ブランドのイメージを毀損するようなサイトに掲載されていないか確認する必要があります。そこで活用したいツールが、ユーザーがきちんと認識できる広告枠に配信されるようコントロールできるアドベリフィケーションです。
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ブランドイメージを低下させるような危険なメディアに出稿するリスクを避けるためにも、アドベリフィケーションを検討されてはいかがでしょう。
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広告主もアフィリエイターも法律への理解を深めよう
本記事ではアフィリエイト広告の規制強化について、詳しくお伝えしました。消費者庁は、引き続き不当表示の発生状況や必要な管理上の措置の実施状況を注視していく方針です。これ以上の規制強化を招くことのないよう、広告主もアフィリエイターもアフィリエイト広告に関連する法律への理解を深めることが求められます。
ネット広告市場は大きく成長していることから、今後もマス広告から多くの広告主が流入する見込みです。そこでネット広告を利用する広告主は、ブランドを毀損から守る対策としてアドベリフィケーションの利用を検討されるようおすすめします。アドベリフィケーションについて詳しくは、弊社までお問い合わせくださいませ。
Momentumはアフィリエイト事業者向けのサービスを提供しています。
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