アドフラウドが発生する仕組みとは?種類から対策方法を解説

Momentumブログ編集部
2023-12-05
目次

アドフラウド(広告詐欺)によって、広告配信の目的にそぐわないユーザーの流入や、広告予算の流出などさまざまな課題を抱えている人もいるかもしれません。場合によっては、把握できていない不正クリックにより、適切な効果測定が行えていない可能性もあります。

そのため、誰が不正クリックを起こしているのか、アドフラウドが発生する仕組みを理解しておくことが大切です。アドフラウドの種類や事例を把握すれば、事前に対策がしやすくなり、広告の費用対効果(ROAS)も最大限に引き出しやすくなります。

この記事では、アドフラウドが発生する仕組みとはなにか、種類から対策方法までわかりやすく解説します。アドフラウド対策としておすすめのツールも紹介しますので、あわせてご参照ください。

アドフラウドの仕組み

アドフラウドの仕組み

アドフラウド(広告詐欺)とは、Web広告業界の頭を悩ませている課題です。不正手段によってクリック(成果)があったように見せかけ、効果のない広告費を請求する仕組みが多くなっています。

具体的な仕組みには、「Botでクリック数を水増し」「人の目では見えないエリアに広告を出稿扱い」「カモフラで気づかないうちに不適切なサイトへ広告出稿する」などがあげられます。

アドフラウドの具体的な仕組みはさまざまですが、その多くはハッカーなど不正業者が金銭を得るために詐欺行為目的で行う手口が一般的です。

ここでは、アドフラウドの仕組みにおける概要について、3つのポイントを解説します。

  • アドフラウドを利用した不正業者の3つの手口
  • アドフラウドが発生すると起こりうる問題点
  • アドフラウドが発生するケース

≫≫ アドフラウドとは?対策方法からおすすめ対策ツール5選を徹底比較

≫≫ アドフラウドとは?広告詐欺が発生する仕組みと対策事例を紹介

アドフラウドを利用した不正業者の3つの手口

アドフラウド(広告詐欺)の仕組みはさまざまですが、不正業者が活用する手口は大きく分けて3つです。

  1. botなどを活用して意図的にアクセス数やクリック数を偽装する
  2. 不正な手口でユーザーを集めアクセスを増やして報酬を得る
  3. 詐欺用サイトに掲載して広告費を騙し取る

代表的な手口は、botなどが機械的に広告をクリックしてアクセス数を偽装します。たとえ正規のポータルサイトに正しく広告を出稿できていても、対策をしていなければ、悪意のあるアドフラウド攻撃の影響を受けてしまう可能性は否定できません。

ほかにも、「偽装した不適切サイトが広告を出稿させる」「不正にユーザーを集めて広告を閲覧させる」などの手口もあります。いずれもインプレッションやクリック数が水増しされてしまう被害だけでなく、ユーザー視点から広告元へ不信感を募らせてしまうリスクもあります。

≫≫ Facebook広告に多い詐欺の実態とは?手口や対策について解説

アドフラウドが発生すると起こりうる問題点

アドフラウドの被害を受けると、「広告を不正に搾取される」「ブランドイメージが毀損される」「知らぬ間に機会損失が生まれる」「適切な広告の運用効果を把握できない」などの問題点が考えられます。

たとえば、アドフラウドの仕組みはほとんどが不正業者が金銭を得るために、広告をクリックしたり、不正にユーザーを集めてインプレッション数を稼いだりします。ここで問題なのが、クリックが機械的に行われたか、悪意のないユーザーの手で行われたかの違いです。

仮にクリックが機械的に行われていた場合、アドフラウド対策ツールを導入すれば、広告をクリックしたアクションを無効化して広告費をセーブできます。しかし、悪意のないユーザーの手で行われていた場合は広告費を支払うほか、集客ルートに問題があれば、表示された広告自体に不快感を抱かれる可能性も否定できません。

以前、「漫画村」など違法なWebサイトに広告を出稿している会社がクレームを受けた事例も存在します。しかし、実際にはそのようなサイトへ出稿している認識がなく、アドフラウド被害によって広告を不正に表示されていたケースになります。

つまり、不適切サイトに出向されてしまうアドフラウドの仕組みに合わせ、事前に対策を施さなければ、広告主が気づかぬ間に「ブランド毀損」「ユーザーの忌避」「機会損失」が生まれる可能性があります。

ほかにも、クリック数やインプレッション数などが正しく集計できず、ROI(投資収益率)を判断できないなどの問題点も存在します。リファラーごとにCVRの数値が大きく乖離していたり、広告戦略立案の邪魔になってしまったりと、マーケティングにおいて死活問題です。

アドフラウドが発生すると、広告費の搾取やブランドイメージの毀損、運用データの正確性が損なわれるなどさまざまな問題が発生するため、仕組みに応じた対策ツールが必要です。

≫≫ 結局、漫画村の何が問題だったのか?海賊版サイトの問題点と対処方法について

アドフラウドが発生するケース

アドフラウドの発生自体を防ぐのは困難ですが、仕組みを理解すれば対策としてどのような施策が役立つかを思案しやすくなります。アドフラウドが発生するケースとしては、「質よりも量を重視してしまうマーケティング手法」があげられます。

質より量を重視してしまうと、安い単価で出稿できる広告枠を狙いがちになり、品質の低いメディアに表示される可能性も高まります。その結果、不適切なサイトに表示されてしまったり、不正業者により大量のクリックが行われてしまったりと、アドフラウドの発生原因になりがちです。

とにかく表示回数を増やし、リードの数を獲得するといった運用方針だと、ターゲット外のユーザーだけが増えているにもかかわらず、同様のキャンペーンを成功例として捉えてしまいます。その結果、より一層効果の薄い広告出稿を繰り返し、アドフラウドで費用を騙し取られ続けてしまうリスクがあるのです。

アドフラウドが発生するリスクを最小限に抑えるには、はじめから「質の高いサイトに出稿する」「成果地点を掘り下げる」といった手法があります。例えば、資料請求を成果地点にしてしまうと、botによって資料請求のみが行われ、肝心の成約率が大きく下がってしまう原因になりかねません。

そこで成果地点に「来店」にすれば、量より質をKPIとして適切な広告運用を行いやすくなります。

≫≫ 不正クリックはなぜ起こる?その原因とアドフラウド対策ができるツールを紹介

アドフラウドの6つの種類

アドフラウドの6つの種類

アドフラウドの仕組みは広告自体を不正にクリックする手口から、ユーザーの端末を不正操作してクリックさせる手口までさまざまです。なかでも、アドフラウド手口は大きく分けて6つの種類が存在します。

  • クリック洪水(クリックフローディング)
  • bot自動プログラム
  • 異常行動
  • インストールハイジャック
  • インストールバリデーション
  • 端末養殖場(デバイスファーム)

ここでは、アドフラウドの6つの種類について解説します。

クリック洪水(クリックフローディング)

クリック洪水(クリックフローディング)とは、ユーザーが踏んだ広告をかさ増しして、パブリッシャーが端末IDを悪用する手口です。広告Aを踏んだユーザーに対し、BやCも踏んだように見せかけ、広告主から広告費を騙し取るような仕組みを指します。

具体的には、不適切なタグ付けが行われる問題があげられます。
例えばAの広告を踏んだユーザーが、友人など異なるルートでゲームアプリのDL&アプリ課金を行った際、通常ならカウントされないはずの成果がA広告タグに集約され、不正業者に支払われてしまう手口です。
クリック洪水は1つのクリックで複数広告から成果に繋がったかのように見せかける仕組みのため、流入経路を洗い出せば不自然に急増したクリック数など異常に気付きやすくなります。しかし、ラストクリックだけを見ていると見逃しがちな手口です。

bot自動プログラム

bot自動プログラムとは、出稿されている広告をクリックしたり、アプリをインストールしたりして広告費を騙し取る手口です。不正業者のなかには専用システムを構築してサーバー間で行うため、一人の不正業者から広告費数百万をゆうに超える被害に遭ってしまう可能性もあります。

また、自動プラグラムには「SDKスプーフィング」と呼ばれる仕組みで広告費をムダに消費させられる事例も増加傾向にあります。アプリに不正コードを挿入して、「端末データ間のやり取りや通信」といった実物のデータをもとに、不正変換した成果をアトリビューションツールに送付します。

その結果、成果はおろかまったく発生すらしていない広告に広告費を支払ってしまうケースが後を絶たない状況です。とある調査では不正行為のうちSDKスプーフィングによる架空インストールが80%にまで及ぶともされており、シグネチャーをハッシュ化するなどさまざまな対策が求められます。

異常行動

異常行動とは、ユーザーのアクティブ率が突然引き下がったり、大きく引き上がったりなど数値に大きな変動が見られる状況を指します。アドフラウドの仕組みとしてはbotや機械処理などによる広告の不正アクセスが考えられるため、CVRの数値が大きく変動するなど費用対効果を図りにくくなるのが問題です。

分析レポートに従来のデータから乖離したデータが見られる場合は、ボットやプログラムの不正アクセスによる異常行動が考えられるため、リファラなどのチェックを行う必要があります。

インストールハイジャック

インストールハイジャックとは、マルウェアやウイルスに感染したユーザーの端末を悪用し、広告のクリックや表示を自動的に行わせるアドフラウドの手口です。コンバージョンなどの指標も悪くならないため、さまざまな仕組みのなかでも気づきにくいといわれています。

インストールハイジャックはクリックからインストールが自動化されているため、所要時間が減る傾向にあるのが特徴です。CTIT値(クリックからインストールにかかった時間)があまりに短ければ、インストールハイジャック被害に遭っている可能性が高まります。

インストールバリデーション

インストールバリデーションとは、不正な広告ネットワークをもとに、アプリインストールなどを偽造して報酬を騙し取る手口です。アプリインストールに応じて広告費を支払う広告で悪用されがちな仕組みで、ボットやエミュレータを使って存在しないコンバージョンを偽造します。

対策を怠っていると広告効果を誤認しやすく、誤った広告運用で適切に予算を配置できなくなってしまうのが問題です。

端末養殖場(デバイスファーム)

端末養殖場(デバイスファーム)とは、実物のスマートフォンやタブレットを1つ、または大量に用意した環境で広告を不正にクリックする手法です。広告の表示とクリックによって広告費を騙し取ることが目的で、人の行動によってアドフラウド対策を突破されてしまうリスクが存在します。

端末養殖場は1つの端末をリセットして複数端末から成果があったように見せかけたり、物理的に複数端末を用意したりとケースによってさまざまです。

アドフラウド対策ができる3つの方法

アドフラウド対策ができる3つの方法

アドフラウドには多種多様な手口があり、仕組みも異なるため、対策に追われている事例も少なくありません。
アドフラウド対策ができる代表的な手法は以下の3つがあげられます。

  1. DSP事業者の変更
  2. 推奨/非推奨リストの作成
  3. アドフラウド対策ツール提供会社に依頼する

ここでは、アドフラウド対策ができる3つの方法について解説します。

DSP事業者の変更

すでにDSPを利用している場合は、アドフラウド被害を最小限に抑えるために、アドフラウド対策が充実したDSP事業者に変更してみるのもポイントです。特に、アドベリフィケーションツールなどの開発事業者と提携していれば、不正な広告アクセスを遮断しやすくなります。

アドフラウド対策としてDSP事業者を変更する場合は、「JICDAQに加入しているか」「自社でアドベリフィケーションツールを開発しているか」「アドフラウドの対策と具体的な事例を解説している」などに着目して事業者を選定してみるのをおすすめします。

≫≫ DSP広告とは?SSPとの違いや配信の仕組みをわかりやすく解説

推奨/非推奨リストの作成

アドフラウド対策に「推奨/非推奨リストの作成」があげられます。仕組みとしては、不正クリックが発生するような質の低いサイトを一切省き、悪用されにくい優良サイトに出稿を限る手法です。

アドフラウドが発生するリスクを根本から減らせるため、アドフラウドの被害も抑えられるメリットがあります。

しかし、推奨/非推奨リストの作成を自社だけで行うと大きな手間がかかってしまうのは否定できません。アドフラウド対策ツールには「セーフリスト(ホワイトリスト)」や「ブロックリスト(ブラックリスト)」機能が搭載されたソフトウェアもあるため、それらを利用するのもポイントです。

アドフラウド対策ツール会社から提供されるリストなら、高品質で信頼度も高く、自社の管理コストを大幅に低減できるメリットもあります。

アドフラウド対策ツール提供会社に依頼する

アドフラウド対策の仕組みを自社で構築するのが難しい場合は、アドフラウド対策ツールを提供する専門会社へ依頼するのをおすすめします。アドフラウド対策だけでなく、広告詐欺全般を対策できる「アドベリフィケーションツール」なら、広告予算の費用対効果を最大限に引き出しやすくなります。

不正クリックによる広告費を騙し取られるリスクを抑え、広告の効果測定なども適切に行えるようになるため、マーケティング戦略を立案しやすいのもメリットです。

とある調査では、アドフラウドによる不正クリック被害額は約5.0%とされているため、自社の広告予算のうち被害額の目安がいくらかチェックしてみましょう。自社のアドフラウド被害額を算出したうえで、アドベリフィケーションツールのランニングコストと比較検討してみるのをおすすめします。

≫≫ アドベリフィケーションツールのおすすめベンダー5選を徹底比較!仕組みから費用まで徹底解説

≫≫ アドベリフィケーションツールの選び方の3つのポイントを徹底解説!

アドフラウド対策の成功事例

インターネットを利用したマーケティング支援サービスを提供するセプテーニ様は、国内外の企業へ向けてサービスを展開するデジタルエージェンシーです。デジタル広告をはじめさまざまなマーケティング活動を支援している一方で、「アドフラウド被害やブランド毀損が気になる」と顧客から問い合わせが来る対応に頭を悩ませていました。

特に、顧客ごとに工数やコストが異なり、対応や品質を均一化できない点が課題だったと言います。
そこで、「HYTRA DASHBOARD」をご導入いただきました。

高品質なブロックリストによって、高品質なサイトにのみ広告を出稿できるようになり、アドフラウド被害やブランド毀損対策を実現できました。そのうえ、広告配信やガイドラインの規範を管理しやすく、既存システムと柔軟に連携できたのも魅力とのこと。

管理工数を大幅に削減しつつも、すべての企業に一定品質のサービスを提供できる点が大きな利点だと嬉しいお声が寄せられています。

≫≫【インタビュー:株式会社セプテーニ】クライアント企業の課題も一緒に解決 ー リスト提供型サービスを使うメリットとは

アドフラウドが発生する仕組みまとめ

アドフラウドが発生する仕組みまとめ

アドフラウドが発生する仕組みはさまざまで、広告予算が知らぬうちに騙し取られている事例も多くなっています。

悪質業者が行うアドフラウドの手口は「botなどでアクセス数やクリック数を偽装」「不正な手口でユーザーを集めアクセスを増やす」「詐欺用サイトに掲載して広告費を騙し取る」などがあり、アドフラウド対策を怠るとユーザーの信頼を損なってしまう可能性も否定できません。

そのため、アドフラウドが発生する仕組みを理解したうえで、適切な対策ツールを導入するのがベストです。アドベリフィケーションツールを導入するなど、広告詐欺の被害に合わないよう事前のアドフラウド対策が求められます。

特に、「セーフリスト」などのリスト型アドフラウド対策なら、高品質なサイト・広告枠に限って出稿しやすくなるため、ブランド毀損などの被害に遭いにくいのもメリットです。

「なんだかCVRの数値がおかしい」「ユーザーのアクティブ推移に異常行動が見られる」など、アドフラウドの被害に遭っているかもしれないと感じた方は、ぜひこの機会にアドベリフィケーションツールの導入をご検討ください。

 

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